・お読みになる方へ。
この話は、今後小説として書く上でのイメージ構築を目的としたエピソードです。
設定などが変わる場合もございます。

物語は怪異とは全く関係ないような書店の風景から
二人の人物の投影と、設定のすり合わせという
形式的なものではじまる。

 

1  
「本  
屋  
の  
光  
景」 

in the bookstore

書店…人によっては本屋。とも言うだろう。

最近では「密林」「蔦屋」と呼ばれるネット通販や大型書店など顔を効かせており有人店舗としては苦境を強いられている業界だ。

この街にある書店もチェーン展開するそこそこ大きな本屋ではあるが、競争が激化しているのを見過ごすわけにはいかない。そのためには正確に客の動向を掴まみサービスを向上するのが第一だ。

もちろん商売上のミスを少なくする事も含め。

…だというのに

その書店の店員…眼鏡を掛けたツリ目の女性は、
深くため息をついた。

ツリ目の女性

ラドさん…あなた、
これで何回目だと思ってるんですか…?

レジの前に立つ彼女。
身長はは標準より低いがキリッとした顔立ちと
真っ直ぐな姿勢から仕事は出来る印象。
…に見えるかもしれない。

呆れて何も言えない。と言った風な感じで、
微妙な表情を隣に立っている大きな男の方へ
視線を投げかける。

外国人のような風貌とやや老けた顔、
ぼさぼさの髪と表情が頼りなさ気な雰囲気な割に
やけにがっしりとした体格を持つその男は
体をちちこませながら
視線を下に落とし、力なく返事をした

背の高い色白の男

……すみません

コンビニや病院…スーパーがそうであるように
二人の胸元には店員であることを示す
ネームカードが下げられている。

ラド

「茨目 浪憂土」(イバラメ ラウド)

ルカ

「古津流 流歌」(フルツル ルカ)

このややこしいくて読みにくい名前は
とある理由から来るものなのだが、
それはどうでもいい情報なので割合するとして、
カタガナで名前を表記することとする。

ルカは一見年上の男性に配慮する素振りも見せず
淡々と正論というナイフでラドを斬りつけた。

…要するに説教だ。

ルカ

いいですか…?
お金を扱うっていうことは、
お客様の信用を扱うということでも
有ります。

あなたはお客様、そして
先輩である私の信用を、いま、
失い掛けているということなのですよ?

ラド

はい…

ルカ

あなた、いつもそうですよね。

言いたいことがあるのであれば、
反論しても良いんですよ?

ラド

そう言われても…俺のミスなわけだし…
誰のせいでも無いでしょう。
どうしても俺が…
レジを打たないといけない
そういう状況だった。

ルカ

わかってるじゃないですか。
それなら、もう少し
落ち着きと、正確さ。
それを身につけてください…

あなたはいい所もあります…
けれどそれだけじゃ足りないんです

ラド

まぁ、精進します…

とりあえず新着書籍きてるんで、
検品してきます…

ルカ

お願いします。

ラドは相変わらず視線を逸らしながら返事をし
落ち込んだ様子でバックヤード(裏方)の扉へ
向かっていった…。

その姿を見送りながら。ルカはため息をついてから
1人思考を巡らせる。

ルカ

私の事を頼ってくれても良かったのに…
1人でやろうとするからミスするのよ…

今は自分が正社員で、彼がバイトで。
ルカのほうが先輩の立場であるが、
歳はラドのほうがずっと上だし、
とある関係から彼との付き合いもそこそこ長い

かつて幼少のころは「おじさん」と呼んで慕っていた頃もあったほどだ。

だから彼の性格もルカは理解している
…と思っている。自分の、中では。

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