俺の日常は、1ヶ月前からガラリと変わってしまった。

それはもう、天と地ほどにね。

今この瞬間も、俺の目の前では血で血を洗う戦いが繰り広げられている。

人によっては、「は?お前、何贅沢言ってんだよ?俺と代われよ」とか訳のわからない事を言うバカな奴がいるかも知れない。

事実、俺の背中には無数の鋭い視線が刺さっているのだから。

代われって?

いくらでも代わってやるよ!!

・・・それでも代われないのが現実なんですよね。

羽島桜

信一くんは、私と一緒に帰りたいんです!実ちゃんはどこかに行って下さい!

早川実

は~?どう考えても、信一が一緒に帰りたいのは、桜じゃなくて、わ・た・しでしょ?

‥うん、大体これで、今俺が置かれている状況を理解して頂けたと思う。

そう、修羅場です。

俺の日常はこんなに真っ赤な物ではなかったはずなのに…。

内ポケットに、週間少年ジャ◯プを入れる日もそう遠くないかもしれない。

羽島桜

信一くんはどっちと帰りたいんです??

早川実

そうだよ!信一はどっちと帰りたいのさ!?

二人の会話の矛先が、俺の方に向いた。

ぶっちゃけ、ここで俺が答えなかったら、ナイフでぐさりのクソエグバッドエンド決定。

逆に、俺がどちらかを選べば、ヒロイン1人死亡のバッドエンド決定。

おい、この選択肢に答えなんてないじゃんか!!

こんなクソゲー誰が買うかよ!

まー、現実なんですけどね笑

…っておい!こんなふざけた事をしてる場合じゃなかった!

とりあえず、落ち着け…。

羽島桜

信一くん?

早川実

信一!

なんか、横がうるさいが落ち着け。

足を一歩後ろに下げた瞬間、俺の足が何かに激突したのがわかった。

‥そーか!これをやれば、俺は血を見なくて済むぞ!

大野信一

オッケーだ、決まった

羽島桜

私ですよね?

早川実

桜なわけないじゃん。私だよ

緊張感に包まれたこの状況で、あの答えを言うのは少し不味い気がするが…やるしかない!

自分が今立っている所に感謝して、

大野信一

それでは皆さん、さようなら

瞬間、俺は勢いよく背中の後ろにあったドアを開けて、全力疾走でその場から逃げた。

これで、俺が刺されて死ぬ事がなくなったね。
や~よかったよかった。

今思ったんだけどさ、俺が刺されることって本当にあるのかな?

まず、二人ともナイフやらなんやら持ってないよね?

冷静に考えると俺ってバカな事考えてんな~笑

校門を過ぎた辺りで、自分の教室に目を向けると、さっきまで殺し合い(?)を繰り広げていた二人の女子が俺に向かって何かを叫んでいるようだったが、全然聞こえない。

校門を出た後も小走りで逃げる事にしたが、さすがは帰宅部。
全然体力がもたない。

そこで、近くにある公園に着いた俺は、ベンチに腰を降ろした。

とりあえず、一段落着いた所だし、どうして俺がこんな修羅場に巻き込まれているのか、その理由を聞いてくれるとありがたい。

俺と彼女達との戦いの始まりを…

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