2124年8月29日15時37分(GMT-7)、超大型干渉電波望遠鏡群(米国ニューメキシコ州)が、はくちょう座方向より強い電波信号を受信。電波は361秒間、観測された。ただちにSETI協会を始め、18の専門機関・団体による解析が行われる。
解析によって判明した内容は以下の通り。
①ある言語体系を示した暗号化されたデータ群
②我々に向けたメッセージとみられる、ごく短い文字列
③グリーゼ777Aの恒星系の構成を示した図面
①、②を人工知能『ハレルヤ』が解析、および翻訳を試みる。解析の結果、①の言語体系、および②の文字列は、グリーゼ777Afに生息する知的生命体の自然言語ではなく、自惑星外の知的生命体に理解のしやすいよう設計された人工言語(――以下、言語αとする)であることが判明。
②の文字列の内容は、
『我々が孤独であった29億年の月日を思えば、104年など、〈※〉のようなものだ。ただ浜辺にて、空を見上げ、返事を待つ。――隣人より』
と判読された。
『ハレルヤ』は、翻訳の精度について「絶大なる自信」を誇示しているが、〈※〉部分の判読エラー等、その精度に関しては疑問を持つ科学者も多い。異星言語学の権威、デヴィッド・バーナード博士は「翻訳の信頼度はせいぜい75%程度だ」と述べた。
また送られてきた情報の内容についても、不可解な点はある。特筆すべきは、情報量が乏しいことだ。前回の発信からちょうど104年が経過していることから、地球側からの情報を受信、内容を確認した後、メッセージを発信したと推測される。しかし、DNA構造を示すデータや人類の絵・写真など、地球からの情報に含まれていた要素が欠けていた。これについては、「データ容量の節約のため、地球と同じ部分については省略しているのでは」という推測や、「地球人への警戒の表れだ」と考える専門家もいる。未だ結論は出ていない。