藤代

以上をもちまして、演劇部の公演は終了です。
ご覧いただきありがとうございました

土浦

あー!無事に終わったー。
ライト片付けないとだけど、ちょっとひと休みだな

あの、少々お時間宜しいですか?

土浦

ん?劇観てくれてありがとうございますー。
何かごようですか?

僕、この劇の元になった小説を書いた者なんですけれど、今回劇にしてくださってありがとうございました

土浦

えっ?あの小説の作者さん?

はい

土浦

わー、わざわざ見に来てくれたんだー。
ありがとうございます、楽しめました?

はい。ちょっと照れくさい感じもしましたけど、楽しかったですし、嬉しかったです

土浦

そっかー、折角だから、この劇やりたいって言った子を紹介しますよ

え?良いんですか?

土浦

ちょっと待ってて下さいね。
おーい藤代ー!

…………

藤代

どうしたんですか先輩ー

土浦

あの小説の作者さんだって。
折角だから挨拶しておけって

藤代

まじすか?

初めまして。
あなたが、僕の小説を選んでくれたんですか?

藤代

はい、そうです。
図書館に置いてあった文芸部の本を読んで、すごくいい話だなと思ったので

そうなんですか、ありがとうございます。
台本に直すの、大変じゃ有りませんでしたか?

藤代

そうですね、大変は大変でした。
でも、後輩が手伝ってくれたのは助かりました

そんな沢山の人が、僕の話に手を掛けてくれるなんて、嬉しいです

藤代

あ、でも、劇にするに当たって省略した部分とか有ったりするんですけど、作者として何か不満点はありましたか?

そうですね、僕はあの小説をそのまま劇にするのは難しいと思って居たので、省略される部分は有っても仕方ないと思いますし、その事について不満はありません

藤代

そうですか、良かったです

むしろ、省略して居る部分が有るにもかかわらず、僕の伝えたかったことを変えずに編集し直してくれて、嬉しいです

藤代

有りがたきお言葉

それでは、演劇部の皆さんも片付けが有ると思いますし、そろそろ失礼しますね。
本当にありがとうございました

藤代

こちらこそ、ありがとうございました

土浦

…………

藤代

…………

土浦

作者直々に観に来てくれて、良かったな

藤代

そーっすね。まさか直々に来るとは思ってませんでしたけど。
あ、先輩、ライト運びましょうか?

土浦

いんにゃ、とりま藤代はメイク落としてこい

藤代

ライト運んでからでもメイクは落とせますよ?

土浦

ドーランは一刻も早く落とさないと肌に悪いからな。
ぼくちゃんは藤代のお肌をぴちぴちに保ちたい

藤代

そっすか?じゃあ落としてきますね

土浦

その他諸々の片付けは先輩達がやるから、役者は着替えも済ませろよー

藤代

はーい

天王台

土浦先輩

土浦

ん?天王台どしたん?

天王台

先程話していた男性はどちら様ですか?

土浦

ああ、今回の劇の原作者

天王台

なるほど

土浦

何か気になった?

天王台

この学校では見掛けない方だなと、思いまして

土浦

まぁ、他の学校の人だし、せやろな

天王台

優しそうな方でしたね

土浦

だね。丁寧な人だったよ

天王台

一瞬、藤代先輩が2人居るように見えたのは気のせいだったか……

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