優が引っ越してくる少し前の話。

神谷優

お互い程々にしませんか

程々?何言ってるの、優くん。

神谷優

言ってほしいですか?
僕、勘は鋭い方なんでね。

私は邪魔者の撤去をしてほしいだけ
あなたの行いをバラしてもいいの?

神谷優

咲菜。程々にしなよ

あくまでも、私たちは初対面。
赤の他人なの、分かる?

神谷優

俺らが双子という事実には変わりないよ

咲菜・・・基、結城の当時の彼女は
静かに微笑んだ後、口を開いた。

あなたは田中夏子をオトすこと。
それさえしてくれれば
あなたの充実した生活を保障する。

田中夏子

で、デート?

夏子の声に反応したクラスメートが
一斉に夏子に視線を注ぐ。

田中夏子

ゴホン。でも急には・・・

みんなにジロジロ見られたのが
恥ずかしかったのか少しだけ頬を赤らめ、
優が聞いていないことを確認すると
あからさまに声の音量を下げた。

ダメかな・・・?
いい機会だと思うの

田中夏子

急に二人きりだとなあ・・・

見た目に反して
いちいちネチネチうるせえな

じゃあさ、ダブルデートならどう?

元々の狙いはこれだった。
案外、スムーズに事が運びそうだ。

田中夏子

いいね!それ!

勇気がなくて断ったものの、
本当は優と行きたかったのだろう。
妙な食いつきっぷりだ。

坂田結城

なんの話、してんだ?

神谷優

是非、聞かせてください。

夏子は予想通り、
勇気がないのかもじもじしている。

19日に夏子が
この四人で遊びたいって。

あくまでも、遊ぶという体(てい)だ。
そして夏子が遊びたいと言ったなんて言えば
私が仕組んだなんて勘の鋭い優だって気付かない。

ちらっと優を見ると優と目が合った。


神谷優

お、いいですね

何もなかったかのように微笑んだ。

随分、演技が上手くなったなあ。なんて思いつつ、
私は結城の顔を見た。

坂田結城

・・・

結城だけ、何も答えずに俯いていた。

結城は19日、開いてる?

坂田結城

ああ、開いてるよ

田中夏子

じゃあ、19日ね!

は?協力できない?
笑わせないで。

神谷優

やっぱりやめておくよ
別に暴露してもらっても構わない
けど、そんなことする前に消すよ

バカ言わないでよ。
まだ一日目じゃない!

神谷優

一目惚れなんだよ

咲菜の目をしっかりと捉え、優は言葉を発した

pagetop