破滅の匂いがする楽屋に帰ってきた。

そこには対バン相手の人たちが
少しずつ集まり始めていた。

少し危険な人もいるが。。
先輩だし声かけてみようかな

目を合わせてくれないｗ

きょろきょろと周りを見渡すと
何も言わずに去っていってしまった。

と

ふと足を止めると
振り返って。

少しだけ笑ってくれたように見えた。

不思議な人だな。

足音も立てないですべるように歩いて
ステージのほうへと行ってしまった。

いずみさんの話によると
いっつも一言もしゃべらないらしい。

トリのバンドのヴォーカルさんらしい。

えーと、バンド名は…

Atomic Killer of Battlemaster

すごい名前だな。
どんなバンドなんだろう。

ちょっと聞いてみる。

思わせぶりな一言だな。

これは気になる。

ステージを覗き込む。

異様な佇まいだ…

なんか幻想的…

ギターがリフを弾いてる

あれどっかで聞いたことあるな…
え？これって…

ギリギリ聞き取れる音量で話してる。

マイク通してるのに…

てか、え？？
ヘビロテ？？

曲が始まると
やっぱり聞いたことある。

あの曲だ

さらっと流して歌ってるけど



めっちゃくちゃうまい。

さっきまでのあのささやくような声は
なんだったんだろう。

正直あのアイドルグループの曲を聴いて
ここまで感動したのは初めてだ。

心につきささる
天を穿つような声。

その場の空気が弾けているような。
そして

音が消えた瞬間
世の中の全てが活動をとめてしまったかのような
静寂

全てが凍りついてしまったような錯覚さえ覚える

人って

こんな声出せるんだ。。。

ひとしきり歌い終わると
ヴォーカルが出てきた。

しゃ

しゃべったあ！！！

いましゃべったよね？？？

バンドのメンバーが
ものめずらしそうにわたしをみる

わたしからの～
あの人を見る

メンバーがなんかちょっかいだしてるけど
メンバーともあまりしゃべらないんだ。

なんかかわいいｗ

え？？

トリのあのバンドの人が主催だとおもったｗ


どっかでみたことある。。。

あの、わたしが歌いたいと思った
あのバンドのドラムの人だ！！

すっごいかわいい！！

話によるとあのバンドはサポートで入ってる

そして自分のバンドがあって

そのバンドは去年大手メジャーから声がかかった

でも、断ったんだって

と、啖呵を切ったんだって。


今は自分たちで自主レーベル作って
活動してるみたい。

アニメの主題歌を歌うような人たちだけど
こうやって私たちみたいな
バンドにも目を配って
イベントを主催して誘ってくれるんだって。

ヴォーカルは私と同い年なんだって
すごいよね。

S★Records
だって

なんかかっこいい。

雰囲気といい
なんかうちのドラムに似てるな

するとこっちにきてくれた

畏れ多い…

他のバンドもリハを終え

ホールにはお客さんも入ってきた。

あのおねえさんと楽しそうに話してる。

ゲル大佐ってひとだ！
なんか軍人口調だから大佐らしいｗ

ブラザーCさんだ。
へー、思ったより普通だな

あのふたりの２ショットが異様ｗ

お。
この人がミスター翔か。

おっと！
よそ見してたらみんなもうステージでてるやん

さぁ！

わたしも！！



わたしの
とっても大事な第一歩。

ゆっくりと踏み出した