ハルカ

どっちにしようかな~

ハルカ

右かな~

ハルカ

左かな~

アカネ

早くしなさいよ!

ハルカ

じゃ~ね~
右にする~

この決断が、ハルカの運命を変える事になる!

アカネ

この先にある家なんだけど、
あそこだけ純和風なんだよね!
どんな人が住んでるんだろうね?

ハルカ

たしかに~
一度も住んでる人見たことないね~

アカネ

実は・・・
誰も住んで居ないんじゃない?

ハルカ

そうかな~?
庭とかも奇麗に手入れされてるから
誰か住んでるんじゃないの~?

アカネ

実はイケメンとか
居たりして・・・。

ハルカ

桜かな~?
今日も奇麗に咲いているね!

アカネ

あれ?
今日は車があるよ。
もしかしたら、
住人が見れるかもね。

ハルカ

ふぁぁ~
ホント~だ!

ハルカ

でも、あの車じゃ~
イケメンは期待出来ないかもね。

アカネ

確かにそうね!
軽トラじゃ~ね!

そんな話をしていると、
向こうから背の高い男性が歩いてきた。
二人は妄想に夢中で、
話しかけるまで気が付いていなかったようだ。

アスム

君たち、ウチに何かようかい?

ハルカ

キャ~

アスム

ごめん、ごめん。
驚かしたみたいだね。

アカネ

ココを通るときに、
お花や建物が奇麗なので
いつも魅入ってしまって・・・。
ねぇ、ハルカ?

ハルカ

そうだね!

アカネちゃんと
どんな人が住んでいるのかな~って
妄想してたんです。

アカネ

ちょっと、ハルカ
余計な事は言わなくていいのよ!

アスム

そっか~
っで、妄想していた住人と
僕は一致したのかな?

ハルカ

おじいちゃん、おばあちゃんが
住んでるのかと思ってた!

アカネ

まさかのイケメンさん登場で、
驚いてます!

アスム

イケメンかな~?

アスム

もともとは祖父母が住んでたので
ハルカちゃんの妄想は合ってるね!

ハルカ

やっぱり~。
おじいちゃん、おばあちゃんは?

アカネ

こら、ハルカ!
察しなさいよ!

ハルカ

え!

アスム

もう居ないんだ。
だから、
一緒に住んでた僕が譲り受けたんだよ。

ハルカ

ごめんなさい。
つらい思いでだよね。

アスム

別に良いよ。
知らなかったんだしね。

もし良かったら、
今度も遊びにおいでよ!

縁側でお茶を飲みながら、
花を見るのも結構楽しいよ。

ハルカ

でも良いの?

アカネ

こんな私たちがお邪魔して
良いのかしら?

アスム

この家も花も、
気に入ってくれたみたいだから
いつでも来て良いよ。

それに、
玄関先で立たれてるよりはねぇ~

ハルカ

うん
また来るね!

アカネ

私も、また来ます!

アスム

じゃ~ね!

出会いは単純なもので、
仲良くなるきっかけは幾らでも転がっている。
それをものにするがどうかは、キミ次第といったところだ。

そして月日は流れて・・・。

ハルカ

ハルカね~。
もっと、い~ぱいお花みたいな!
秋には、マリーゴールド・ミニバラ・百日紅なんかもみたいな~

アスム

本当に、お花が好きなんだね。
難しいかもしれないけど、
育ててみようか!

アカネ

アスムさん、ハルカに甘すぎだよ!

アスム

そんな事無いと思うけど・・・。

アスム

アカネちゃんのリクエストは?

アカネ

カーネーション!
カーネーションは外せない!

アスム

そうだね。
それなら毎年育ててるから、
今年もみれるよ!

いつしか学校帰りに立ち寄る事が
変わらぬ日常となっていた。

いつからだろうか?
昔はどれだけ通っても、
人の気配も感じなかったのに
今では必ずアスムがソコに居る。
その事が不思議と気にならなくなっている事に。

アカネ

ハルカ、どうしたの?
もうすぐ授業終わるけど、
なんだか思いつめた顔してるわよ!

ハルカ

最近ね、アスムの事が気になるの。
今何してるんだろう?
とかね、
今日も会えるのかな~って?

アカネ

ハルカ、それは恋よ!
アスムの事が好きになったのね!

ハルカ

そうなんだ~。
やっぱ、そうだよね~。

アカネ

告白してみたら、良いじゃん!
もしかしたら、OKかもよ。

ハルカ

うん!
今日、言ってみる!

アカネはハルカの為に、
今日は中には入らないからと、
ハルカに告白する場を提供した。
友人の恋の邪魔をしてはいけないと思ったのだろう。
そして、アスムの家の前に行く二人。

サナエ

ありがとうね!
アスム。

アスム

気を付けて帰れよ!

ハルカ

あっ!

アスム

ハルカちゃん、来てたの?
ごめん、ちょっと待ってて。

サナエ

あなたが、ハルカちゃん!
アスムから話は聞いてるよ。
可愛いお客さんが来てくれて、
楽しいって!

ハルカ

そうなんだ~
なんだか嬉しい!

ハルカ

そういえば、お姉さんは誰ですか?

サナエ

そうね~
アスムの彼女って、とこかな?

ハルカ

そ、そうなんですか。

アスム

お前な~、からかうなよ!

サナエ

だって、可愛いんだもん!

ハルカ

違うの?

アスム

コイツは、サナエ。
俺の妹だよ!

サナエ

サナエです。
ヨロシクね!

ハルカ

ハルカです。
こちらこそ、宜しくお願いします。

サナエ

そろそろ帰るね!
バイバイ。

アスム

あぁ。

ちょっとしたハプニングもありつつ
本来の目的を果はそうとするハルカ。
二人を包む空気がいつもとは違う感じがしていた。

ハルカ

あのね、アスム。
アスムは好きな人いるの?

アスム

いるよ。
大事にしたいと思える人が、そばにね。

ハルカ

そっか~。
それじゃ~、ハルカはダメだね。

アスム

僕はね、ハルカちゃんが好きだよ!

ハルカ

えっ!

アスム

ハルカちゃんさえ良ければ
一緒にいてくれないかなぁ~

ハルカ

はい。

アカネ

ようやく結ばれたわね。
私は帰ろうかしらね!

アカネは二人が結ばれる瞬間をみて、
安心して家に帰って行った。
そして二人はこの後も仲良く過ごすのであった!

さて、アスムはハルカに嘘をついていた。
何処が嘘だって?
それは・・・
この家にはもともと、
2匹の兄妹猫と身寄りのない老夫婦が住んでいた。
老夫婦の死後、2匹の猫は姿を消した。
老夫婦にはアスムという息子も居なければ
孫も居ない。つまりこのアスムは・・・。
生前老夫婦は二匹の猫に「アスム」と「サナエ」
と名付けて可愛がっていた!

現在編~アスム~

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