何!? 今の音……

両親は海外に出張中、祖母は一年前に亡くなっていて、今家には私しかいないはず……。

まさか、泥棒!?

ガクガクする足を震い立たせ
私はそっと階段を降り、音のする方へと近づいた。

やっぱり音がする……

ねずみ?
……だったらいいけど……

音は台所からだ!


そおっと……中を覗いてみると……

おや、里沙さん起きたんですか?

……えっ?

エプロン姿の二之継さんがいた。

里沙おせーぞっ!

おいニノ~メシまだかよ~?

まもなくですから、行儀良くして下さい

キッチンのテーブルには一之臣さん!?

はっ? あの……

……スーっ……スーっ……

台所の隅に眠っているのは……三之丈さん……。

こ、これは夢!?


えっ!? 一体どういう事!?

ここは……まだ神世?

それともまだ夢?

私は再び頬をつねる。


もうクセになりつつある……。

違いますよ、ここはれっきとした人世ですよ

そうそう、んで里沙の家だな……

……里沙…………? 

……オハヨ……


なんで!?

どうして!?


私の契約は解除されたはずじゃ……?

あの、どうしてみなさんがここに?

ああ、オレたちが勝手にこっちに来た

里沙さんにまだ決めてもらってませんからね

……そう、選んでない……

いえ、あの私もう許嫁では無いですから……

そういうと三人は揃って顔を見合わせた。

そんなん関係ねーよ、オレは嫁さんはオマエって決めてんの!

私も、花嫁は貴方だけですよ?

里沙は……僕のもの……

当たり前の様にそう返されてしまった。

あっ、あのでも狐の神様
いえ、あの皆さんのおじいさんは……?

大丈夫なんですか!? こんな事勝手にして……

あ~、ジジイが言ったんだよ!

どうしても里沙と結婚したいなら向こうの世界に迎えに行って来いってさ

その昔、おじいさまが人間のおばあさまを口説いた時の話まで長々とされました

……そう、これも稲荷の習わしの一つ……

じゃあ、契約は関係無いって事……!?

そ、それで、皆さん揃ってこっちに?

そう……

おう!

その通りです

まさか、こっちの世界に神様たちが来てしまうなんて……。

デートじゃ決められないんだろ?

こういうのは、同棲というものになるんでしょうか……

里沙と一緒……嬉しい……

そんな……もう二度と会えないと思っていたのに……

嬉しいけど……でも……

延長戦に突入だな!

三人と一緒に暮らして決めて下さい

みんなで寝ようよ……

えっ!? えぇっ!?

そ、そんなの……


ぜったい無理────────!!


私の苦悩はまだまだ続くみたいだ……。

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