Peeシリーズの誕生

吉良

恐ろしいAIだな。そんな機能、入れたのか?

麻里亜

試作品ですが。

吉良

ありがとう、助かったよ。

麻里亜

したいことをしただけです。

麻里亜

何がどうなって鳥が悠真くんを助けたのかは、研究して解明したいと思います。

吉良

そうしてくれ。

悠真

鳥じゃないよ。ピーちゃんだよ。

麻里亜

…………。

麻里亜

悠衣。

悠衣

何?

麻里亜

悠真くんもセットで研究したいんだけど……。

悠真

やだっ、冗談じゃないよ!

こんな悪魔の巣窟、怖くて来れないよ!

悠真

麻里亜さんも黙って本を読んでいるだけの人じゃなかったし……。

麻里亜

あなたの大事なピーちゃん、壊れても構わないのかしら?

悠真

え……。

ピーちゃん

ぴっ!

ピーちゃんが怯えた顔で、ボクのパーカーに隠れる。

悠真

ピーちゃん……。

麻里亜

決まりね。

麻里亜

明日から大好きなお姉ちゃんと一緒にここにいらっしゃい。

麻里亜

そうすればピーちゃんとも遊び放題よ。

悠真

え?

ピーちゃん

ぴーぴー(わーい、わーい)

ピーちゃん

ぴぴぴーぴぴぴー(悠真くん、悠真くん)

ピーちゃん

ぴっぴぴぴー(一緒に遊ぼー)

悠真

…………。

ピーちゃんと毎日遊べる……?

悠真

部活の練習が終わってからでもいい?

麻里亜

もちろん。

悠真

来る!

麻里亜

テストパイロットには、筋トレしてもらわないと。

悠真

え?

何か不吉な言葉が聞こえたような……。

麻里亜

練習(筋トレ)が終わったらいらっしゃい。

悠真

う……、うん。

悠真

……早まったか?

ボクはパーカーをかぶった……。

吉良

有能なスタッフがいてくれて助かる。

って顔してる気がする……。

吉良

悠真も無事に戻ったし、例の寿司を食おう。

悠真

え?
あれ、食べるの?

吉良

回らないところの特上寿司だ。

悠真

ピーちゃんにあげてもいい?

吉良

まさかと思うが、食べさせたか?

悠真

うん。マグロ、美味しそうに食べたよ。

栄井

マグロをちぎったのは悠真くんかい?

悠真

うん。

悠真

あ、壊れちゃう?
マグロあげたらピーちゃん壊れちゃう?

栄井

壊れないよ。口から入れたものは、なんでも燃料にできるようにしてあるから。

悠真

よかった~w

栄井

でも、人間が食べれる物は、燃料にしないようにね。

悠真

ピーちゃんにマグロ、あげちゃダメ?

ピーちゃん

ぴ?(ダメ?)

栄井

今日くらいはいいかな?
悠真くんの命の恩人だし。

悠真

わーいw
よかったね、ぴーちゃんw

ピーちゃん

ぴーw(わーいw)

吉良

栄井、さっきのマグロ。
取ってあるか?

栄井

あるよ。

栄井

状態が気になったから、保管しておこうと思ったんだ。

吉良

悠衣、分析してくれ。

悠衣

……わかった。

吉良

セーフティネットとして、鳥を10体作る。

悠真

ピーちゃんだよ。

吉良

…………。

吉良

Peeシリーズとして1から10まで作るぞ。

栄井

わかったよ。

麻里亜

はい。

悠真

うん!

悠衣

…………。

あの時、返事をしてしまったのが、運のつきだったのかもしれない……。

でも、ボクは、後悔なんてしていない。

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