お姉ちゃ~ん!!!

悠衣

悠真?!

弟に呼ばれたような気がして、飛び起きた。

何の音?

しばらく、何が起きたのか、わからなかった。

悠衣

寝てた?

柳之助にこき使われてたから……。

悠衣

あいつ、私のこと運命の相手とか言うくせに、人使いが荒いのよね……。

そんなのただの言い訳に過ぎない……。
居眠りしてしまったのは、私が悪い。

瞼をこすりながら、周囲を見る。

悠衣

あんまりにもやることがなかったから寝ちゃった……。

私はひとりで研究室で実験をしていた。
2,3日かかる実験だったが、実験中の試料を見ると、みごとに破損していた。

悠衣

さっきの音はこれか……。

悠衣

音が聞こえるなんて、
そうとう派手な破壊ね。

パソコン画面でデータを確認すると、グラフの線が大きく変化していた。

その時間を読み取る。

悠衣

40時間……。

もう少しもつと思ったんだけど。

悠衣

これじゃ実用は無理って言われちゃうかな……。及第点ぎりぎりの時間だし、音も大きかったし。

あの音だと、限界が来たらパキっと行く。

悠衣

もうちょっとクニャっとした粘りを持ってほしいけど……。

最後の悪あがきをしてくれるような……。

悠衣

あと改善するとしたらどこだろう……。

悠衣

ふぅ……。

頭を振って頬を叩いた。

悠衣

とりあえず柳之助に報告に行こう。あいつなら何か良い案出してくれそうだし。

柳之助

私のアドバイスが聞きたいのかい?

柳之助

いいよ。キミのためならひと肌でもふた肌でも脱ごう。

柳之助

キミも脱ぐ?

悠衣

……言いそう。

悠衣

あれがなかったらいい人なのに……。

悠衣

……。
………………………………。

悠衣

いい人って、
褒め言葉じゃないわね。

悠衣

内線で済ませてもいいけど、
気分転換も兼ねて行こうかな。

悠衣

会いたくないわけでもないし。

カバンからスマホを持って行こうとした。
でも、見つからなかった。

悠衣

そういえば、柳之助に渡した気がする。

悠衣

意識もうろうとしてたし……。

一緒にここでお茶飲んで、その後、急に眠くなったような……?

悠衣

………………。

悠衣

取り戻した方がいいかもしれない……。

私はすぐに地下7階に向かった。

悠衣

手遅れかも……。

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