お姉ちゃ~ん!!!
お姉ちゃ~ん!!!
悠真?!
弟に呼ばれたような気がして、飛び起きた。
何の音?
しばらく、何が起きたのか、わからなかった。
寝てた?
柳之助にこき使われてたから……。
あいつ、私のこと運命の相手とか言うくせに、人使いが荒いのよね……。
そんなのただの言い訳に過ぎない……。
居眠りしてしまったのは、私が悪い。
瞼をこすりながら、周囲を見る。
あんまりにもやることがなかったから寝ちゃった……。
私はひとりで研究室で実験をしていた。
2,3日かかる実験だったが、実験中の試料を見ると、みごとに破損していた。
さっきの音はこれか……。
音が聞こえるなんて、
そうとう派手な破壊ね。
パソコン画面でデータを確認すると、グラフの線が大きく変化していた。
その時間を読み取る。
40時間……。
もう少しもつと思ったんだけど。
これじゃ実用は無理って言われちゃうかな……。及第点ぎりぎりの時間だし、音も大きかったし。
あの音だと、限界が来たらパキっと行く。
もうちょっとクニャっとした粘りを持ってほしいけど……。
最後の悪あがきをしてくれるような……。
あと改善するとしたらどこだろう……。
ふぅ……。
頭を振って頬を叩いた。
とりあえず柳之助に報告に行こう。あいつなら何か良い案出してくれそうだし。
私のアドバイスが聞きたいのかい?
いいよ。キミのためならひと肌でもふた肌でも脱ごう。
キミも脱ぐ?
……言いそう。
あれがなかったらいい人なのに……。
……。
………………………………。
いい人って、
褒め言葉じゃないわね。
内線で済ませてもいいけど、
気分転換も兼ねて行こうかな。
会いたくないわけでもないし。
カバンからスマホを持って行こうとした。
でも、見つからなかった。
そういえば、柳之助に渡した気がする。
意識もうろうとしてたし……。
一緒にここでお茶飲んで、その後、急に眠くなったような……?
………………。
取り戻した方がいいかもしれない……。
私はすぐに地下7階に向かった。
手遅れかも……。