魔法と妖術。

それは、全くもって似て非なるものである。
魔法とは自身の中に眠る力を引き出し、それを具現化する。
妖術とは、自分の体を含めた物質を媒体とし、精神を昂らせることでそれを操り、別の物質に変えることができる。

ソール・グルナディエ

似て非なるものと思われるも当然

榊 十四郎

そもそも、元は1つの術だったのだから

魔法と妖術が混ざり合うとき、そこに何が生まれるのか。
それは希望か、絶望か――――

村長

若奈ちゃん、今日もごくろうさんだね

若奈

あ、村長さん!

ここは海に近い小さな村。
十国(じゅうこく)という大陸を収める国の端っこのこの村はしかしのどかに暮らしていた。

若奈

はい。お兄ちゃんに頼まれたものだよ!

村長

おお!ようやく新しい官能……!!

村長

……もとい、歴史小説ができたんじゃな

若奈

村長さん、かんのうって何?

村長

観音のことじゃよ、若奈ちゃん。遠い遠い倭の国には観音様というご神体があって、それを奉っておるそうじゃ!

若奈

ふーん

村長

分かってくれたかな?

若奈

かんのうって、何?

村長

……こりゃいかん、しっかり聞いておるわい

村長

まあ若奈ちゃんにはまだ早い話じゃ。お兄ちゃんによろしく言っておいてくれな

若奈

なんか、すごく不自然なんだけど?

風ノ助

村長ー!!大変だーー!!

村長が家に入ろうとした時だった。
若い漁師たちが血相を変えて飛んでくる。

村長

なんじゃ風ノ助。今から忙しくなるというのに

風ノ助

何訳のわからんことを言ってんだ村長。そんなのは後だ

風ノ助

浜辺に人が倒れてたんだ!

村長

なんじゃと!?だからそんなに慌てて……

風ノ助

ああ。とにかくどこかに寝かせてやらねえと。村長のベッド借りていいか?

村長

え……男と一緒に寝るのはさすがに……

風ノ助

んなこと言ってねーだろ!!

若奈

風ノ助、私の家ならここから近いよ

風ノ助

本当か若菜!?

若奈

うん。きっとお兄ちゃんも歓迎してくれるよ

風ノ助

いや歓迎とかそういう問題じゃ……でもちょうどいい。行くぞ!

村長

若菜ちゃんのベッドに男が……頻繁に様子を見に行くかのう……

風ノ助

アンタは来るな!!

ソール・グルナディエ

う~ん……み、みずお……………………

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