心平となにもすることないねと言いあった後、俺はとりあえず将くんにそう訊くことにした。
すると、バーベキューコンロを出しておくよう言われた。
へー。今日バーベキューもやっちゃうんだ。
言われた通り心平と一緒に物置からバーベキューコンロを出してみたけど、これの準備の仕方がわからない。
だって俺家族でバーベキューとかしたことないし。
心平もわかんないみたいで、ふたりしてバーベキューコンロとにらみあっこしていると両手に買い物袋を下げた忠(ただし)がやってきた。
忠はうちのドラムだ。
今はまだサポートメンバー、でも近いうち正式メンバーになる予定だ。
真っ赤な髪にピアスをちゃらちゃらつけた姿は一見誤解されそうだけど、本当はすっごいいいやつ。
そして子持ち。
生まれたばかりの可愛い娘と奥さんのために一生懸命働くいい父親だ。
俺も忠と会ったのは最近で、はじめ見た時はなんだかチャラそうなやつで俺と合わなさそうだと思ったし、あいつへの罪の意識もあってか忠を受け入れる気はなかった。
でも話すうち本当はすごくいいやつで、こいつだったら、あいつだって自分の後継者として認めるんじゃないかと思って受け入れることにしたのだった。
忠は今までいなかったみたいだけど、どうやら俺みたいに遅刻というわけではなく、お肉を買いに行っていたようだ。