第10話 将棋編⑥

~ 棋譜を見よう ~

ねう

お姉さんのしょうぎ講座~!

セニッタ

どんどんぱふぱふ~♪

明菜

宜しくお願いいたします♪

セニッタ

きょうは確か「棋譜をみる」だっけ
……"きふ"ってなんだろう?

明菜

棋譜というのは、将棋などのボードゲームでの対局を記録したものになっておりますっ

明菜

例えば将棋の指し手は「▲3八銀」や「△5四香打」などのようにちゃんとした呼び方があるのは覚えておられますか?

ねう

その書きかたで、たたかってる人の手をメモしたものなんだよね!

明菜

よくご存知でいらっしゃいますね♪
棋譜のとおりに盤面を並べていけば、過去の対局を再現する事ができるんです!

セニッタ

すごい!そんな物があったんだね
じゃあ、早速お勉強しよっ

明菜

今日はある「プロ」の将棋を部分部分でお見せしたいと思いますっ

4手目 △8四歩

明菜

まずは出だし、4手進んだ所ですね
ここから先手は▲2五歩、で"横歩取り"の形になります

ねう

ふんふん、そこから金将さんを上げて、また歩兵さんをついて…

9手目 ▲2四歩

明菜

この前の"相掛かり"のように飛車先を攻めるのですが、横歩取りではここがポイントです!

15手目 ▲3四飛

セニッタ

先手が1枚、歩兵さんをうばっちゃった!

ねう

後手さんはいきなり駒損(こまぞん)しちゃって、この後だいじょうぶ?

明菜

横歩取りの面白い所はそこなのです!
確かに先手が歩兵さん1枚分得をしていますが、
飛車さんが変な位置にいってしまうのです

セニッタ

元のいちに戻そうと思ったら、時間がかかるね

明菜

はいっ、その時間を先手は損してしまうので、
後手も十分に戦えるというものですよ♪

ねう

へぇ~っ、将棋にはほんとに色んな戦法があるんだね!
……あっ、この棋譜ではやっぱり飛車さんをもどしてるみたいだよ

19手目 ▲2六飛

明菜

この後もしばらく駒組みの状態が続いていきますね

駒組み … 陣形を組み立てること。又はその陣形

ねう

……あっ、飛車さんがぶつかったよ!

30手目 △2四飛

セニッタ

むむ…飛車を"交換"したらどうなるのかな?

明菜

そうすると印を付けた2八の辺りの隙が大きいので、飛車さんを得るメリットより、渡すデメリットの方が大きくなってしまうのです

31手目 ▲2五歩

ねう

落ち着いて、歩兵さんでかわすのが正解だね!

 

86手目 △5七歩

明菜

少し局面は飛びますが、ここで手の意味を考える問題に入りましょう!

セニッタ

△5七歩のいみ…
一見、ただで歩兵さんを渡してるよね?

ねう

でも、この歩兵さんを金将さんでとっちゃうと、
角行さんがナナメに動けなくなるね!

セニッタ

そうだね!でも放ってはおけないし、角行さんでとる事になるけど…

明菜

はいっ!本譜でもこの歩兵さんは"同角"の動きで取られます
この地点を駒で埋める事によって、後手は先手の▲5九香を防いだり、
今3三に居る桂馬さんを活用したりするのです

 

ねう

局面がどんどんすすんでいくね!

106手目 △4六歩

明菜

この辺りも将棋の面白い分かれ道です!
4六に歩を進められた場面、受けるなら同歩が一番なのですが…

(補足)
直前に相手がコマを動かした位置に、同じく自分もコマを動かした時、その動きは「同◯(コマの名前)」で記録されます
例)同歩、同玉、同銀成

セニッタ

この将棋では、①の9五のところを攻めにいくんだね!

ねう

私だったら、すぐ②のところに動かすよっ

明菜

攻めるか守るか、将棋に対する姿勢"棋風"が色濃く表れるんです♪

117手目 ▲9六香打

明菜

少し経った後の局面はこうなります。端を攻めると決めたら、コマを集中するのが一番です!

セニッタ

先手の王さまも危なくなってきたね
つぎの△5七桂成がちょっと怖いよ

明菜

良いところに気が付きました♪
後手も攻め駒が沢山あるので、一方的に受ける事はせず、相手の王さまに近づきながら戦っていく事ができます

120手目 △6ニ金打

ねう

この手は、先手が▲4四角を打った後だね!

セニッタ

金将さんで守ってるけど、王さまが動きにくくなって大変そう…

明菜

端を攻める用意が整ったので、反対側からも攻めて王さまの動きを縛っているんです
「玉は包むように寄せよ」、覚えてらっしゃいますね♪

ねう

は~いっ!

134手目 △8ニ銀打

セニッタ

終盤だ!
でも134手も指してるなんて、凄いね

ねう

私たちはもうちょっと早く終わっちゃってるよね…

セニッタ

この将棋はまだまだ続くのかな?
後手の王さまを守られちゃったから、と金とかを作っていかないと…

明菜

……いえ、何と竜王を突っ込んじゃいます!

136手目 △8ニ玉(同玉)

ねう

えっ?すぐに王さまで取られちゃったよ!

セニッタ

大丈夫かな?私が後手だったら、ラッキーっておもうけど…

144手目 △8ニ玉

セニッタ

持ちゴマの銀将さんまで使っちゃってる…

明菜

先ほどの龍切りもそうですが、「終盤は駒の損得より速度」、ですっ!
持ちゴマを使ってでも着実に相手の王さまへと近づいていっています

145手目 ▲9三歩成

ねう

また凄い手がでちゃってる!
取られてもだいじょうぶなのかな?

明菜

プロの将棋は、一手一手に全て深い意味があります!
この局面では、先手の香車が怖いので、同玉とは取りづらいのです

セニッタ

王さまがどんどん下がっていくね!
でも後手は8一香がよく守ってるから、すぐには詰まないとおもうけど…

明菜

この後は、△7一玉、▲9一飛、△5一金と進んでいき…

149手目 ▲5四香

明菜

ここで会心の香車打ちですね!
後手はもう受け方が無くなってしまいます

セニッタ

後手は5八に歩兵さんが居るから、合駒がしにくいね!

153手目 ▲5三銀

明菜

最後はこの▲5三銀を見て、後手は投了します
この後は後手がどのように指しても、必ず王さまが詰まれてしまうのです

ねう

このときにはもう、詰んでいるみたいなものなんだね!

 

セニッタ

この将棋、内容がおおすぎて一回じゃ勉強しきれないね!

ねう

うん!何回も読みなおして、どこをどうするのか覚えないと!

明菜

ふふっ、分からない所があったら、いつでも聞きにきてくださいね♪
他のプロの棋譜をご希望でしたら、すぐにお持ちいたします!

ねう

わ~♪お姉さんありがとう!
でも、まずはセニーと沢山対局して、もっと強くならなくっちゃ!

セニッタ

うん!そろそろ、お姉さんにリベンジしたいもんね!

明菜

は…はいっ!ぜひ、また対局してくださいませ!
ねうさんもセニッタさんも、かなり成長されましたから、きっと勝てると思います!

セニッタ

えへ…お姉さん、いいすぎだよ?

ねう

すぐには勝てなくっても、どんどん強くなってみせるからね、お姉さん!

明菜

本当に、良い子たちですから…勝ち負けは関係ないのです♪
ぜひ、楽しく将棋を指されてください!

第11話へつづく!

(謝辞)
棋譜は第62期王座戦五番勝負 第5局より一部を抜粋させて頂いております

第11話:将棋編⑥『プロのたたかい』

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