…とりあえず僕への注目は少し収まったらしい。
ここらで説明を入れておくと、今僕らが話してるのはリアルじゃなくて通話だ。
PCや携帯から参加可能なツールアプリを使って話している。
さっきつぐみさんが言っていた「tuguhana99」というのはアカウントを作る際に必要なIDのことで、”コンタクト”を取っていないと名前の表示がされないため分かりやすく言ってくれたのだ。
どうもーつかさです。
つかさくんいらっしゃい。
あ、猫さん。
わ、聞いてはいたけど本当にショタボだ。すごーい!
ね!?つーくんいい声してるでしょー。
うんうん。あ、私「tuguhana99」ってやつね。つぐみでいいよ!よろしくねつかさくん。
よろしくつぐみさん。
うわー。聞けば聞くほどショタボ。
私結構好みだなー!えへへ。
ダメだよーつぐちゃん!つーくんはボクのなの!
いきなり何言ってんの?
えーもしかしてもうそこできちゃってるの?できちゃってるのかなー…
違うよつぐみさん。違うからね。
ほら、つかさくん困ってるでしょ。
他の人も置いてきぼりになってるからやめようね。
そうだぞ。こっちにも紹介しろやい。
誰の知り合いなんだーつかさくんとやらは?
ボクと猫さんだよ!
ほー。お前はともかく猫の知り合いなら心配ないな。
俺ゆーきなー。よろしくつかさ。
よろしくです。
ちょっとーその言い方はないでしょ!
はいはい。黙れ犬っころ。
東(あずま)って俺な。
まあ、俺には劣るけどいい声してんじゃね!
あ、ありがとうございます。
あずまでひどーい!誰が犬なんだよ!
あずって呼ぶな犬っころ。
お二人共落ち着いてください…あ、わたし、結々(ゆゆ)です……
えと、よろしくね結々さん。
あ、抜けがけは許さんぞ結々~
えっ。あ、あの、そ、そんなつもりじゃなくて…!
分かってるよ。からかっただけ~。てっへへ。
ひどい、です…
…とりあえず僕への注目は少し収まったらしい。
ここらで説明を入れておくと、今僕らが話してるのはリアルじゃなくて通話だ。
PCや携帯から参加可能なツールアプリを使って話している。
さっきつぐみさんが言っていた「tuguhana99」というのはアカウントを作る際に必要なIDのことで、”コンタクト”を取っていないと名前の表示がされないため分かりやすく言ってくれたのだ。
あ、つかさー。コンタクト送ってもいいか?
全然!というか皆さん僕の方から送らせてもらっていいですか?
いいよー!
大丈夫、です…
しょうがないな。猫の知り合いというなら特別だ。
…さっきから思ってたけどもしかして東さんって厨二病とかそういう類の人なのかな。
まあそんなの口に出した瞬間に敵を作ってしまうのは目に見えているので、皆にお礼を言ったあと大人しくコンタクトを送らせてもらう。
…お、きたきた。えっへへーつかさくんで連絡先100人目だ!
そんなんで喜んでるようじゃまだまだだな。
はぁ??そういうゆーきは何人あるのよ。
……200くらいか?
うっわぁ…どうせその半分以上は女の子なんでしょうね……
ちゃんと男だっているっつーの。
どーだか。あっ、ねえねえつかさくんはどれくらいなの?
え、僕ですか?
こういう時に多い数を言うとさっきみたいに反感を買う事もあるし、かと言って少なすぎれば馬鹿にされる可能性もある。
皆はそんな人には見えないけど一応適当に言っておくか…
僕は50くらいですよ。
んーそっかそっか!まあそれくらいがふつうだよね~。
あれ、そういえばもうそろそろ姐さんくる時間じゃない?遅くない??
それならさっき、もうすぐ入るねってグルチャに…皆さんつかささんとお喋りしていて気付かなかったようなので、お返事しておきました…
そうなんだ!ありがとゆゆっち♪
グルチャというのは「グループチャット」の略しである。
実はこのアプリ通話機能だけでなくチャット機能もついている多機能な便利アプリなのだ。
…ちなみにさっきのコンタクト数、50と言ったが実際は150ほどあったと思う。
…やあ、こんばんは。今日も賑やかで何よりだね。
あっ!姐さあああん!!
はいはい、ちょっとうるさいかな緋音氏。
うぅ、ごめんなさい…
どうも、つかさです。
あ、この子がつかさくん?
…確かにいい声してるわね。天性のショタボだわ。
気を付けてね、つかさくん。この人重度のショタコンだから油断してると
つぐみ?最近は垢BANが流行ってるらしいから、気を付けた方がいいと思うわ。
冗談ですごめんなさい…
ごめんねつかさくんいきなり。
私は柚姫(ゆずき)。あながち間違ってはいないけど、重度ではないわ。
あ、そこ否定しないんだ…
よ、よろしくお願いします…
あそうだ、柚姫さんにもコンタクト送りますね。
ええ、皆とはもう交換したのね。
姐さんがくる30分くらい前にきたからね。
もう自己紹介も済んでるし!
随分大まかだったけどな…
まあそんなこんなでメンツが揃ったらしく、何故だか僕は色んなジャンルの質問攻めにあった。
女子の恐ろしさを改めて思い知った夜だった…
そうこうしてる間にかなりの時間が経っていたらしく、とりあえず通話はお開きとなる。
お疲れ様。
あ、つかさくん。この会議はほぼ毎日やってるから、気が向いた時にまたおいで。
誰かしらチャットするからさ。
分かりました!じゃあまたお邪魔しますね。
お疲れ様でした。
おつおつー♪
おつかれさま!
おつかれ。
お疲れ様、でした…
お疲れ。
お疲れ様。
こうして初メンバーでの会議(このアプリを使って複数人で通話すること)は無事終わったのだった。
はぁー…終わった…
今日も特にバレなかったみたいだな。
やはり少しは気が張っていたらしく安堵していた僕は、アプリの通知音でびくりとしてしまう。
うわっ!……なんだ緋音か。びっくりさせるなよな…
通知に書かれていた名前は緋音のもので、内容は「少しだけはなそーっ♪」というものだった。
寝ようと思ってたんだけど…まあいっか。
通話をかけると驚きの速さで応答する。
…あ、もしもしつーくん?やほやほ~♪
うるせえ…さっきまで話してたろ。
えっへへ~ごめんごめん。
いやーしかし今回も見事にバレなかったね!
まあ1年以上同じ事やってる訳だしね。
そう簡単にバレやしないよ。
傍から見たら何の話をしているのか全く理解できないと思う。
それでは話そう。僕がネットをやっている上で、唯一の”設定”を。
僕は…いや私は、女なのだ。