煙は消えて、後悔は残る

瀬川春奈

……

瀬川春奈

……帰る

石塚賢治

お、おい……

柴野一樹

やめとけよ

石塚賢治

……お前、いたのか

柴野一樹

まぁな

藤宮隼人

……

結城レイ

ね、ねぇ

藤宮隼人

あぁ、悪いな
急に店を出てさ

結城レイ

ううん……

藤宮隼人

ちょっと、びっくりして……
春奈が他の男と2人で遊んでるとこ
見たことなくて

藤宮隼人

なんだろうな
嫉妬とかじゃ……なくてさ
ていうか、彼女とかそんなのじゃないし

藤宮隼人

……ホント、なんだろうな

結城レイ

……

噴水前

石塚賢治

……

柴野一樹

お前は悪くないと思うぜ

朝倉葵

……

柴野一樹

大丈夫か?

朝倉葵

……えっと
こういうのは初めてで

朝倉葵

何て声をかけてあげればいいのか

柴野一樹

いや、こういう時は何も言わないでおくのが
一番いいんだ

全部、アナタのせいよ……

石塚賢治

俺は……
そういう、つもりじゃなかったんだ

石塚賢治

……俺は

柴野一樹

コーヒーとタバコ買ってきたけど

石塚賢治

悪いな……

柴野一樹

にしても、災難だったな

石塚賢治

あぁ……

石田弘大

春奈ちゃんはさ……
デートの下見に来てたんだよ

石塚賢治

それで、何しに来たのか
教えてくれなかったのか……

石田弘大

本当なら
あそこでレイちゃんたちと一緒に
行動するはずだったんだ

檜山千秋

だけど、俺たちの存在が
そうはさせなかったんだね

石塚賢治

俺があの場所にいたから……
アイツはあんな想いを
しなくちゃならなかったのか

石田弘大

だって、アニメだと
そんな、悲しい展開に
ならないし……

檜山千秋

俺達は、全てが”何とかなる”と錯覚していた……

檜山千秋

多少の暗い出来事があっても
まるで、アニメのように難なく
乗り越えられると
心の何処かで思っていたんだよ

檜山千秋

そうでない世界から来た人間なのにね……

石塚賢治

俺は誤解していた……
アイツらのことチープに考えてた……
アイツらだって同じ人間なのによ

石塚賢治

あんなことになったら……
そりゃぁ、泣くし……傷つくよな
アニメの世界の人間でも……

柴野一樹

で、どうすんだよ?

檜山千秋

レイちゃんの想いを取るか
他の子の想いを取るか

石田弘大

どっちを選んでも
誰かが傷つく……のかな

石塚賢治

……嫌な選択だな

柴野一樹

全くだ……

石塚賢治

俺は一体どうすればいい……

石塚賢治

瀬川と藤宮の関係を悪化させるのは
本来の目的に沿う

石塚賢治

だが……

石塚賢治

現状維持がいいのかな……
レイちゃん的にはだけど

石田弘大

そうなんだろうけどさ……

柴野一樹

手伝うかどうか、もう一度考え直したいんなら

柴野一樹

まず、やらなきゃいけねーことが
あるんじゃねーか?

石塚賢治

やらなきゃいけないことって……

檜山千秋

関係のリセット、でしょ

檜山千秋

まさか、瀬川さんと藤宮の関係を
そのままにしておいて
自分は足を洗う、なんて考えてないよね?

石塚賢治

……んなわけねーだろ
責任は感じてる

石塚賢治

大体、お前のその言い方、まるで自分は

檜山千秋

俺は考える必要がないし

檜山千秋

どんなことがあっても
レイちゃんを手伝うって決めてるからさ

石塚賢治

そうか……

柴野一樹

オメェはどうすんだ?

石塚賢治

俺は……

つづく

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