~午後3時の公園にて~
~午後3時の公園にて~
ねえねえ、最近話題のアレ
可愛くない?
アレってもしかして
ご当地キャラのサケちゃん?
そうそう!キャラも可愛いしさ
実際ホンモノも美味しいよねー
めっちゃわかる~
・・・・・・
行ったか・・・
ったく どいつもこいつもよォ!
サケちゃんだか切○身ちゃんだか知らねえが、ふざけるんじゃねえ
今のブームは鯖缶だろうが!なア!
ガサゴソ・・・
お、鯖缶捨ててあるじゃん
ラッキー!
「公園のゴミ箱から食料を漁る謎の物体
いや、謎ではない、ただの缶詰である。」
やっぱ鯖缶はうめえな
「明らかに共食いであることは置いておいて
コイツの名前は「佐場野 缶詰」
中身も頭脳もないので
己の勘だけで動いている缶詰だ。」
あーあ
他人の幸せなんて考えてる暇ねえよクソッタレ
「口が悪く見た目も綺麗ではないが
これでも一応、恋のキューピッドである。」
こんな生活続けててもだめだよなあ
明日にでも職業安定所に行くかな・・・
「もちろん取り繕ってくれるわけがない。
料理のように美味くはいかないのだ。」
まあまあ腹も一杯になったし、とりあえず今日は家に帰るとするか・・・
~帰り道にて~
あーなんか興味の引くニュースとか
ねえかな
よっこらせっと!
( 見知らぬ家族の家を覗く )
おっテレビついとるやんけ
どれどれ最近のニュースは・・・
次のニュースです。
一般家庭の夫婦が家庭料理のことで喧嘩をし、裁判まで起こすという驚愕の珍事件が起きました。
へえ、最近はくだらないことで喧嘩する若者が増えたもんだなあ
食べ物で喧嘩とかくだらなすぎるだろ
俺だったらそんな恥ずかしい内容で裁判まで起こしたくないわ
「食べ物について熱く語っているが、コイツも食べ物である。」
まっ俺には関係ねーな、さっさと帰るか
よっこらせっと!
~自宅にて~
ああ・・・何時みても寂しい自宅だ
せめて同居者が居ればもう少し楽しいんだろうけどな・・・
今日テレビ見た、裁判
明日ちょっくら覗いて
みるとするか・・・
一応恋が絡んでるしな!
~街にて~
さてと、目指すは裁判所だな
歩幅が小さいだけに歩くのにも
一苦労だぜ・・・
「まず歩けることに驚きを感じた人も
多くはないであろう。」
ママー!なにあれー!
缶が勝手に動いてるよ!
ねえママー!
コラッ見ちゃいけません!
何故か心が痛むなような感覚が・・・
よし、もうそろそろだ
~裁判所にて~
ふう・・・一般人は入れないだろうが
俺は鯖缶だ、ガードもちょちょいのジョイだぜ
どれどれ・・・なんか言い争ってるな
・・・元はと言えば貴方が私の作る料理が不味いなんていうから始まったのよ!
だって本当のことじゃないか!
そういう所がデリカシーが無いのよ!
言い方ってもんがあるでしょ!
僕は思ったことを言っただけだ!
それでこんな裁判なんて・・・
おぉ・・・すごいすごい
実にくだらなすぎる
これはどちらも裁けんなあ
鯖缶だけに
捌かれるのは嫌だけどな
ん・・・外が騒がしいぞ・・・
くだらない裁判を餌にしようと報道陣が押しかけてきた。
このくだらな・・・興味深い裁判についてコメントをお願いしまーす!
おい、先に入ったのは私だぞ!
コメントをお願いします!
なによっこの!
どけどけ!俺が先だ!
「いや俺が先だ!」
「俺だ俺だー!」
うおっ!潰されちまう!
やめろやめろ!
報道の波に押されて、缶詰が夫婦の近くまで流された。
なによこのクソッタレ!
なんだよバカヤロウ!
(ドンドン)
皆さん静粛に!フフッ
なんで笑っとんねん
途端にに会場が静まり返る。
それと同時に報道陣が呟き始める。
なによ・・・ただの夫婦喧嘩じゃないの・・・
こんなスクープじゃ新聞にしても面白くならないな・・・
「やめだやめだー」
「なんだよー」
一斉に報道陣が帰って行った。
いや普通に凄い内容だろ・・・
まあ、ニュースも大げさに取扱いすぎだわ
こんなん解決のしようがないよな
完結は無しってとこだな!
さて、俺も帰るかな
夫婦はまだ言い争っている。
それを見てあきれ帰った缶詰はゆっくりと裁判所を後にしようとした。
あ・・・ちょっと見てよ!
あれはもしかして・・・
どうしてこんな所に鯖缶が!
なんだよこんな時に!
あ・・・
・・・
・・・そういえば、君は料理が下手でいつも缶詰を使っていたけどその一生懸命作ってくれる姿に僕は・・・
・・・
・・・私たちが出会ったのは捨て猫に缶詰をあげていた貴方を見て声をかけたのが始まりだったわね
あの時の貴方も
とっても格好よかったわ
・・・
・・・
くだらないことで喧嘩したわね
冷静になれたわ
ごめんなさい
いや、悪いのは僕なんだ
僕の方こそごめん
いや・・・
ありがとう
えっ・・・
いつも僕のためにありがとう
これからは僕も料理の事を勉強するから一緒に作ろう!
これからもよろしくね!
うん!私からもありがとう!
これからもよろしくね!
これもきっと神様か妖精様が私たちを導いてくれたんだわ・・・
ありがとう
缶詰の神様!
一方そのころ恋の神(缶詰)は・・・
あぁーなんか寒いなー
それになんかだりい(鼻ホジ)
やっぱり俺にはキューピットとか
向いてねえのかな
いっそ鯖じゃなくて鯉(コイ)に生まれたかったな
恋と絡んでるしな
食べられはしないけど
はあ・・・まあいいや
今日も寂しく帰るとするか
~自宅にて~
結局ここに帰ってきちまうんだよな・・・
まあ、明日に備えて寝るとするかな
Zzz・・・
おい
Zzz...
おい、鯖缶
Zzz...
起きろや!
んあぁ!?
一体なんだってんだ!?
よう、鯖缶
お、お前は・・・!
第二話に続く・・・
(かもしれない)