石川くんの隣に並びながら、嬉しさのあまりピョンピョン跳ねるように着いて行く。

間宮 朱里

ほんとにほんとにほんとに頼りにしていい!?

石川 翔平

もちろん。どうせ毎日暇だしね。同じことの繰り返しで刺激もないし。

間宮 朱里

こんな私なんかで師匠に刺激を与えられるでしょうか!?

石川 翔平

十分だよ。ほら跳ねすぎ……



刺激がないなんて言うけど、毎日違う女の子を相手にするのはかなり忙しそうだし刺激的ではないのかな?


そんなことを考えながら、彼に跳ねるなと言われたので私は大人しく歩き出した。

間宮 朱里

私……石川くんは忙しくて毎日素晴らしい生活を送ってるのだと思ってたよ。

石川 翔平

一度かなり刺激的な経験をしたから、それが終わった今案外つまらないよ。



かなり刺激的……なにそれ気になる

間宮 朱里

それって

石川 翔平

でも今はまた刺激的かな



質問しようと思ったのだけど、ニコッと笑われて見惚れてしまった。

石川 翔平

あ、この店良さそうだね


だから完全に質問をするタイミングを見失ってしまっている


まぁいいか。
またゆっくりメモが取れるときに武勇伝をお聞きしようかな。













石川 翔平

朱里?どう?

間宮 朱里

え、あ、はい!ごめんなさい!すごく可愛い服だから私には似合わないかと



石川くんが指をさしているのは、私の箪笥には一つもない服が主要のお店。

マネキンが着てる服すごく可愛いけど……

こう言うのが似合うのは……華…

みなまで言うな。私。自虐行為だぞ。

ブンブンと首を振って考えを吹き飛ばしているうちに、じっくり私を観察した彼は

石川 翔平

そんなことないよ。似合うに決まってる


と納得した様子を見せてきた。

間宮 朱里

……そ、そうかな。


とりあえず中に入り、服の値段を確認してみると、これがまたお手頃なものばかり。

石川 翔平

スカートと前ボタンの服にしよう

間宮 朱里

色は!?セクシーなのがいいでしょうか!!紫とか紫とか紫とか、あとは黒



大人の女ならこの色だな。
と思いながら店にあるその色の服を自分に合わせてみる

石川 翔平

紫推しすぎでしょ。ダメ。


だけどすぐに石川くんに取り上げられてしまった。

間宮 朱里

あ……

石川 翔平

朱里はこれがいいよ。こっち


代わりに渡されたのはセクシーには程遠い可愛い色のスカート。

これを……私が着るの?

石川 翔平

あと上はこれね

間宮 朱里

はーい



どうなるか想像もつかないけど崇拝する師匠が言うんだから間違いないよね。謎に確信が湧いてきたよ。これぞ石川パワー。

間宮 朱里

じゃあこれ買ってくるね!

石川 翔平

ちょっと待った


渡されたものをそのまま買うべく、レジに向かおうとすると優しく呼び止められる

石川 翔平

慌て過ぎ。一回着てみて

間宮 朱里

え!?いいよ!待たせちゃうから!!



男の人はあんまり待たされるの好きじゃないもんね。それに師匠を待たせるなんて弟子失格だし。

石川 翔平

待つのはいいから着ておいで。そうだ。なんなら着替え手伝ってあげようか?そしたら待たないし



いたずらっぽく笑った彼に私は固まった


石川くんが服を着せてくれる……?

間宮 朱里

だけど師匠は着替えさせるより、脱がせる方がうまいんでしょ?

石川 翔平

…!?

間宮 朱里

だって脱がせる姿ならいくらでも想像できるけど、着せるイメージが全く湧いてこない

石川 翔平

……ここは顔を赤らめるところだったんだけど。うまいこというね。

間宮 朱里

え!?そうなのごめんなさい!いますぐに!



口を閉じて真面目な顔をする私を彼は、不思議そうに見ていた

石川 翔平

朱里

間宮 朱里

……

石川 翔平

朱里

間宮 朱里

……

石川 翔平

なにしてるの?朱里


石川くんの質問にプハッと口を開ける私

間宮 朱里

顔が赤くなるように……はぁ……息を………とめてました……どう?

石川 翔平

ぶっ!!


あー苦しかった。だけどこれで顔は赤いはず!!期待に応えたいもんね!!!


だけど石川くんは私に背中を向けて肩を震わせているだけ。


……笑ってる…??

石川 翔平

……もうわかったから……試着室入っておいで

間宮 朱里

あ、はーい!!



石川くんって女の子の前で綺麗な笑い方をするなぁと前から思っていたけど、こんな風にも笑う人なんだと思ったら何故だか嬉しかった。


期待に応えられた私グッジョブ!!

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