試着室の中に入って石川くんプロデュースの服に丁寧に着替える

間宮 朱里

こ、これが私!?


……なんてね。

服だけでそんな大きな変化はなかったけど、とりあえず言ってみたのはそこそこイメージが変わったからだ。


ヒラヒラするし、スースーする。
清楚だけどスカート短いもんね。しかしこれになんの意味があるのか全く謎。

石川 翔平

朱里…着た?

間宮 朱里

あ、うん!着られたよ!


ノックと共に声をかけられたので返事をし、試着室の扉を開ける。


ジッと射るような視線で私を見つめた石川くんは

石川 翔平

……うん。いい感じだね


と笑った。

なんか……照れちゃうんだけど

間宮 朱里

ほんと?

石川 翔平

うん。似合ってる

間宮 朱里

師匠が選んでくれたから間違いないですもんね!!



そんな会話をして、服を買って2人で店を出る








間宮 朱里

これ…どうするの??


お店の名前が入った紙袋を見つめながら、素朴な疑問を投げかける私


だっていまのところ普通にショッピングしただけだもん。気になって仕方ないよ


すると石川くんはニコリと笑った

石川 翔平

明日大学に着てくる服だからね

間宮 朱里

え、着るの!?それだけ!?

石川 翔平

まーだ。次は中ね


中……下着……ですよね。
石川くんは絶対正しいから、いうこと聞いていれば間違いないと思うけど凡人の私には、何をするのか検討もつかないな。

石川 翔平

……あそこにしよう



ある程度歩いて見つけたのは、おしゃれなランジェリーショップ

なんの迷いもなく石川くんはそこに入っていった。


中にいた店員さんとお客さんは驚いていたけど、彼がニコっとすれば恥ずかしそうに顔を赤らめている。

石川 翔平

ほらこっちにきて

間宮 朱里

え、はい。



さっきの笑顔は悩殺ゴッドスマイルと名付けておこう。


そんな馬鹿なことを考えていたら、あるサイズのところで師匠はピタリと足を止めた


間宮 朱里

え、待って。なんで私のサイズわかるの?

石川 翔平

ああ。さっき抱きとめた時かな。
朱里って着痩せするタイプだよね…意外だった

間宮 朱里

え!?あんな少しのことでわかるの!!!?

石川 翔平

まぁあれだけじゃ大体だけどね。触れば数字もはっきりだせるよ



まるで稲妻が走ったみたいな衝撃


な、な、なんですか!その特技!
メジャーいらないじゃないですか!
これは石川くんだから成せる技ですよね!!?


尊敬の眼差しでキラキラ見つめていると

石川 翔平

はい。これにしよう


あっさり選んだものを手渡される

間宮 朱里

え、服と真逆……

石川 翔平

うん。それが狙いだよ。紫と黒が入るとセクシーだよね

間宮 朱里

……ね、狙い??これって師匠の好みでしょうか??

石川 翔平

いや……俺はどうせ脱がしちゃうからあんまり気にしないけど

間宮 朱里

そ、そうでした



さっきの服と同様、こんなの付けたことない……っ!!
だけど彼の言うことは絶対正しいんだもの。迷う理由もない


もはやどっぷり石川教にハマっている私は

間宮 朱里

じゃあ、これ買ってきます!


と財布を握りしめた

石川 翔平

うん。いってらっしゃい


サイズに余程自信があるのか、”試着”の文字がでない。


っていうかアンダーのサイズまでバッチリなんですけど!!!


そんな驚きと感動を混ぜ合わせながら、選んでもらったものを買ってお店を出た



石川 翔平

じゃあこれで買いたいものは買えたね。明日着てくるのは約束。お疲れ様

間宮 朱里

あ、ま、まって!



用事が済んだからと解散雰囲気が出たのですかさず叫ぶ

石川 翔平

ん?

間宮 朱里

ここまで付き合わせてお礼もしないなんて、私の気が済まない!!何か奢らせて!!!

石川 翔平

いいよ。そんなことしなくても。好きでやったんだから

間宮 朱里

だ、だめ!!私これでも大学生にしては稼いでる方!!!

石川 翔平

でも……

間宮 朱里

気を使うならファーストフードとかでも!

石川 翔平

…………



しばらくの沈黙にダラダラ汗が出てくる


もしかしてファーストフードはダメ?お口に合わない?


だけどやっぱりお礼はしたい

間宮 朱里

お願いします……ろくなお礼もできないならこれくらいはさせて。なんならファーストフードじゃなくても

石川 翔平

……女の子に奢ってもらったことなんかないんだけど……

間宮 朱里

なら、石川くんのその初体験私がもらった!



その言葉でやっと表情を緩めた師匠

石川 翔平

……そこまでいうなら今日はお言葉に甘えようかな。

間宮 朱里

ほんと!?じゃあいこう!!




なんて謙虚なんだろう。

だいちゃんなんか奢るといえばすぐに食いついてきて、たくさん頼んで遠慮なしに食べてたのに。


これが完璧なイケメンかと思いながら二人で近くのファーストフード店へと歩いた。

石川 翔平

コーヒーだけでいいからね。

間宮 朱里

だめ!ポテトもつけるんだから!!

石川 翔平

……お礼なんていつか身体で払ってくれればいいのに

間宮 朱里

こんな粗身体お礼にもなりません

石川 翔平

そ、粗身体……


まだ少し遠慮がちな石川くんに、さらにデザートをつけようと考えていたのは内緒にしておこう。










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