Part-B
『堀坂誠人』

……はぁ

(あれは、ぼた子……)

 階段の踊り場でため息をついてる西岡杏月を発見した俺。

今から補習なの

(また独り言が始まった)

 あいつ、天使と話せるっつってたっけ。
 本当のところはどうかわからんが、俺の話を無かったことにしたという前科がある。

 しかし自分の記憶をなかったことにしてどうすんだ。
 それはただの忘れっぽい奴じゃないか。

そうだ、中間テストを無かった事にしたらどうなるの?

 壁に向かって喋っている杏月。

(現実逃避かよ……)

……同じテストをもう一回受けるってこと?

(やりなおしができるとでも天使に言われたのか)

え、じゃあ出たところだけ勉強すれば最低でも赤点は免れるんじゃ……

(そんな都合の良い話があるかよ……)

消したいけど……

でも自分だけそんなズルしていいのかな……

(いいわけあるか。むしろ俺も混ぜろよ)

……

やっぱり止めとく……なんか違う気がする

(お、踏みとどまった)

 てか、なんだあいつ。
 ぼっちなのか。
 エアー友達とかいうやつか。

 仕方ない。
 俺様が声をかけてやろう。

ぼ……

西岡さーん

 俺の横を通り過ぎ、ぼた子に駆け寄る女子。

ひゃい!?

……

 なんだよ、友達いんじゃねーか。
 ま、どうでもいいけどよ。

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