スズナはね、昔は…少なくとも小学生の時は今のような性格じゃなかったの。明るい娘でね。いつも回りに友達がたくさんいたのよ

おばさん、捏造は良くないと思う

ふふ。本当よ。毎日のように友達と遊んでたわ、とても活発でね。よく服を汚して帰って来たのよ

イメージ沸かなーい

そうね。今は部屋にいる事が多いから…あの日以来、全く外で遊ぶ事が無くなったの

その時の、おばさんは何かを躊躇するような、不安そうな表情をしていた

スズナはね、小学生の時に友達だけに教えてた…呼ばれていた名前があったの

………

その…あだ名のようなものですか?

そうですね。あだ名のようなものです。でも、当時のスズナにとっては、それが自分の名前だったんだと思います

なんて名前だったの?

それがね…おばさんにも教えてくれなかったの

は?

教えて?って、聞いたら友達だけにしか教えないって言われちゃったのよ。可愛いわよね…それくらい当時のスズナにとっては友達って存在が大事なものだったのね

っていうか、あいつに友達がいた事が、まだ信じられない

私の言葉におばさんは、また何かを躊躇するような、不安そうな表情をしていた

・・・もう、いないわ。一人もね

スズナ!あなた…

寝てたけど、暴力女の声がうるさくて起きちゃったの。私の事がそんなに気になるなら話してあげる・・・だから聞いたらさっさと帰って

そこまで大声で話してた覚えはないけどな?

じゃ、話すわね。私はね、信じていた友達…全員に裏切られたの。だから、もう他人なんて誰も信用したくない、名前すら誰にも呼ばれたくないの

お母さん…家族は別だけど

へ~、それは大変だったな~

そうね。辛すぎて何度も死のうと思って自殺したの、止められて未遂に終わっちゃったけどね…もういいかしら?理由も分かったんだから早く帰ってくれない?正直迷惑なのよ。あなた達

友達に裏切られたくらいで自殺なんて、どんだけメンタル弱いんだよ

可哀想ね。暴力ゴリラ女には人間同士の繊細な悩みが理解できないのね・・・

心が傷付く事なんて誰でも経験ある事なんだよ。いつまでもひきづってんじゃねーよ

……あなたに何が分かるの?…なんて、お決まりのセリフ言った方が良かったかな?とにかく、私は他の誰も信じたくないの。触りたくないの。話したくないの。会いたくないの。だから金輪際、私に干渉しないで

あぁ~なんか、もう、めんどくさいな。早く死んでこいよ。お前?

死ぬ努力はしてるわよ。でも、止められるの。仕方ないじゃない。生きてるのは辛いけど、止めてくれる人がいるから…私は生きてるの

かまってちゃんだな…はぁ……お前と話してると本当にイライラするわ

…スズナ

…なんですか?先生

その裏切られたっていうのは、何があったんだ?

………

これだけ聞いたら帰る。夢の発言なら俺が謝る。ストーカーの件もすまなかった。だから昔のお前に友達が何をしたのか…何があったのか…それだけでいい。教えてくれないか?

そして、ランデブーは赤毛の前で土下座をした

……

ちょっと先生…そんな…

いいんです。お母さん。これは謝罪です。俺はスズナの事を傷つけてしまったので

だっせ…

先生…

赤毛は少しの間、ランデブーの事を見ていた、そして

………先生には友達っていますか?

赤毛の発言にランデブーは下げていた頭を上げる

…あぁ、いるぞ

いつから友達はいましたか?

…中学二年生からだ。

おっそ!

色々あってな…小学生の時は友達はいなかった

…私と逆ですね

…そういう事になるのか

…そうです……うふふ

…笑った

スズナ…あなた……

赤毛はソファーに座る、そしてゆっくりと口を開いた

私の小学生の頃の友達だった人たちは

私の事を殺そうとしたんです

それが、裏切り

と。

赤蘭スズナは

それは、曇りの無い笑顔

今まで見せた事の無かった無邪気な顔で

笑っていた

第十七章 私の死にたかった過去①

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