あたし

起きて……。
起きてよレムぅ……。

どうしちゃったの!?





アタシは粗大ごみの大きな体を




何度も何度も揺すった。




大きく重い体はアタシの力なんかでは




ピクリとも動かない。











それでも、目を覚ましてくれる事を祈って




力いっぱい揺すった。

……。






けど、眼の光を失った門番さんは




動く気配すらなかった。







あたし

なんで……なんで…


ふと、小さな影が




泣きじゃくるアタシと粗大ごみを覆った







影の主は舞い落ちる花びらのように




ふわり、ふわりと宙を舞い……





そして、門番さんの肩に覆いかぶさった。













刈り入れ

もぞもぞ





獣の骸骨のような顔に大きな角。




そして、顔と同じくらいの大きさの




布をまとっているけど




手足や胴体は無い。







粗大ごみの肩に乗るその奇妙な生き物は




体長30cmほどの大きさで




布の中でなにかゴソゴソ動いている。



あたし

な…なにあれ……





アタシには気づかないのか




はたまた無視をしているのか




それはわからないけど




一心不乱に作業をしたかと思うと




再び風に舞うように




空へと飛んでいった。









その途中で




奇妙な生き物は落し物をしていった。



あたし

これは……。
もしかしてレムの体の花?

……。






気になったアタシは、




門番さんの背後の方へと回った。











あたし

う…うぅ……。






その背中には草刈りのごとく花を刈り取られた




無残な花畑のような状態が広がっていた。




あたし

なんで…?
なんでこんなひどい事に……。

うぅ……。







レム

アレ?
コンナ トコロデ ドウシタノ?




肩を落とすアタシの背後から




レムが話しかけてきた。


あたし

え?

レム

ヒサシブリ ダネ!

あたし

え?

……。

あたし

え?

レム

あたし

え?

……。



アタシは



レムともう一つの門番さんを



交互に見た。

あたし

あの〜。
アレはレムじゃないんですか?





アタシが指をさしながら




あとから来たレムに聞くと


レム

ア…。
アレハ ボクジャ ナイヨ?



と、答えた。

あたし

え?違うの?

あたし

なぁんだ〜。



アタシはホッと胸をなでおろした。

あたし

じゃあ、あの子はなんなの?
お花をたくさん刈り取られてて、とても可愛そう……。

レム

アレハ……
キット キミノ チカクニ
イル ヒトノ ココロ ノ
カケラ ダヨ。

あたし

私の……近くにいる……?




レムの言葉にアタシは




胸がチクリと刺さるような感じを覚えた。





レム

アノ ジョウタイ ハ
トテモ アブナイ……。
ソウトウ ココロ ガ ヤラレテイル。

あたし

心が……やられて……。







レムの語調が強くなる。



次第に膨れ上がる不安。









レム

オハナ モ キット
『クロヴィス』 二
カリトラレタンダ。

マスマス マズイ。

イノチ ガ アブナイ。
























アタシの近くの人…?


















心がやられてる…?













命が危ない…?










おねえちゃん

おねぇちゃん……





























アタシの脳裏におねぇちゃんの










笑顔がよぎった。























つづく

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