神 斬
髪 切 り屋
神 斬
髪 切 り屋
序の巻 白朱
2.覚醒
白狐さんと俺の黒髪と戦うための鍛錬がはじまった。
朱右よ、そなた、右目のみ、黒髪が見えると言っておったが、相違ないか?
そうだよ
ならば、左目には、どのように見えておるのじゃ?
たぶん、普通の人と同じように見えてると思うよ、右目をつぶって、左目だけで見ると、黒髪は全く見えないよ
なるほどあいわかった
で黒髪と、どうやって戦えばよいの?
まー、あわてるでない
これから、我が話す事をよく聞くのじゃ
少し長くなるがよいかのぉ?
うん
まず、朱右そなたの右目になぜ黒髪が見えるかの説明からするぞ
何故、人の目には景色が見えるのか?
それは、人の目が光を感じておるからじゃ
そして、その光という物は波動と粒子があわさってできておる
ゆえに、光は、波でもあり粒子でもあると言える
童(わらべ)のそなたには、わかりにくい話かも知れぬが
これを光量子(こうりょうし)と呼ぶ
波である光波と量子である光子とでできているわけじゃな
そして普通の人間は、その光波の揺らぎの違いを目で感じ画像として、脳が処理しておるのじゃ
わかりやすく説明すると光波の揺らぎとは、そなたたち人間が、色と呼んでいる物のことじゃ
そなたも、見たことがあると思うが、虹の色は何色に見えておる?
学校で習ったけど、七色だったかな?
そうじゃ、厳密に言えば、無限の色があるのじゃが、大まかに分類すると七つの色に見えるはずじゃ。
赤(童子)
橙(来国長)
黄(ソハヤ)
碧(翡翠)
青(富士)
藍(姫鶴)
紫(御魂)
の七色じゃ
その、人の目に見える七つの光が形を成し景色として見えておるのじゃ
そして、光のもう一つの構成物、光子は普通の人の目には見えぬ物なのじゃ
ただしのぉ、人間の中にも、この光子の形や色が見える者がおっての
そなたの、知り合いにおらぬか、何も見えない所で何かいるとか言う者が
朱右、特にそなたの右目の場合、我の姿、形、色を話から察するに完全に見えておるようじゃが、画像として完全に見えておるということは、そなたの光子を見る能力が人並み外れて、強いということなのじゃ
そなたのように、我の姿を完全に画像として、とらえられる人間は極稀(ごくまれ)での、我がこの世に存在している長き時においても、数名いたのみじゃ、我と同じ、神を除いてはのぉ
そして、この光子の色や形が、そなたたち、人間が言う神や妖怪などの、超常の物の姿ということになる
だから、そなたには、黒髪がみえるのじゃな
基本的に、神も、黒髪も、妖怪や祟りも構成している物は同じ物と言える
そして、その、光子の色が、すべての万物の本質をあらわしておる
白狐さん、大体の話はわかったよ
でも最後の万物の本質とか言う話が、いまいちよくわからないよ
童のそなたに、わかりやすく説明すれば、白や先ほど説明した、七つに近い色になれば、良き心の物であり、黒なれば悪き心の物となる
なるほど、黒色に見える、黒髪は悪物ってことになるんだね
それで、白色に見える、白狐さんは、良い物、すなわち正義の味方ってわけなんだね
朱右、そなたの言っておる、正義の味方とやらの意味は、我にはなんのことがわからぬが・・・・
白狐さん、
能面騎馬武者
[この世界のテレビのヒーロー]
しらないの、正義の味方で、悪物をやっつけて、町の平和を守ってくれるんだよ
すまぬ、朱右、そなたの言うことがさっぱり解からぬ
僕、てっきり、白狐さんはもっと意地悪なのかと思ってたよ、話かたとか、少し偉そうだし。
朱右、何を言うか、我ほど良い神もなかなかいるものではないぞ
白狐さん自分で言っちゃったよ
これだから、童は苦手じゃ
町の人々のために、黒髪と戦おうとしてる、我が悪い神のわけがなかろうて
で、黒髪と、どうやって戦うの?
おおっ、そうであった、朱右、黒髪といかに戦うか説明してもよいかの
こやつの、言動に振り回されておるのぉ
おねがいします
正義の味方の手伝いができると朱右は満面の笑顔であった。
序の巻 白朱 2覚醒1
完
続