例えば、過去の失敗を挽回できる機会が巡ったとして、過去そのものは消えないのではないか。
わたしの胸に去来したそんな想いは、過去の罪をより一層、心の裡に重くのしかからせる。
何も知らなかったあの日。先住民の少年にかけた心無い言葉を発したわたしを、わたしは永遠に許さない。許したくない。
だからわたしはこうして、先住民とエンジン国民の寛容の縁を結べるよう、東奔西走しているのだ。
とはいえ、最近はどちらかといえば、彼と彼女の差配の旅に付き合っている時間の方が長いのではなかろうか。
しかし、こちらはこちらで、挽回せねばならない、過去の失敗があるのだ。