春。この時が来た。
期待と不安を胸にひめ、校内の昇降口に貼ってある紙から自分の名前を探した。

長谷川 拓実

・・・

俺は気絶しそうになった。
無理もないだろう。
俺の名前が書かれていた二年一組のクラスのメンツは一年の時、問題児とうわさされていたやつらばかりであったからだ。

長谷川 拓実

冷静になれ、長谷川拓実。わかっていたことではないか。そもそもここの高校の名前、「ロリショタ高等学校」なんて変なやつしか集まらないにきまっているではないか。でもなんでこのメンツに俺が入っているんだ...

そう自分に言い聞かせ、俺は教室へ向かった。

エイゴ・リラン

ウホッ!
たっくん、また同じクラスじゃねえか!
宜しくな!

長谷川 拓実

おう!
奇遇だな、よろしくたのむわ。
ゴリと一緒なんて嬉しいよ!

長谷川 拓実

嘘だろ、一年の頃同じクラスだったが、一番関わりたくないやつとまた同じクラスかよ・・・生きていけるのか?

さっきのゴリラみたいなやつはエイゴ・リラン。愛称はゴリ。
やつにゴリラという単語は禁句。
その言葉を発言したやつは学校を辞めた。
理由はわからない。
そもそもこいつの名前、かわいそ過ぎるだろ、親ひどいな!
顔も体も挨拶もゴリラを連想させる。人間なのか?
あの緑のオーラはなんだ?
野獣のオーラなのか?
とりあえず彼といると精神的に疲れる、そんな動物だ。

しばらくして、俺は二年一組の教室に着いた。
覚悟はできた。
このドアを開けるとおぞましいものを目にするであろう。
俺はゆっくりドアを開けた。

長谷川 拓実

コスプレの大集合かっ!!!

俺は自分の席に座り、真っ先にまともな人間であろう人を探した。

探すだけ無駄だったのは言うまでもあるまい。

三上先生

よし、全員集まったな。
俺の名前は知ってるやつも多いと思うが三上という。
一組の担任になったのでよろ。

三上先生

とりま、いきなり大事なお知らせだ。
二年になって転校してきたやつがいる。
カモ~ン!

羽柴 恵

・・・・・・

綺麗だ、俺は単純にそう思った。

しばらくの間、沈黙が続いた。

三上先生

羽柴さん、自己紹介、頼んます・・・

羽柴 恵

皆さん、キモすぎですね!!

彼女は笑顔でそう言った。

彼女は笑ってそう言った。

彼女はにこやかにそう言った。

彼女との、そしてクラスの奴らとのめんどくさい高校生活はここから始まったのである。

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