マザーレスチルドレンアジト・監禁部屋
マザーレスチルドレンアジト・監禁部屋
突然ハルトを襲った激しい頭痛。
混濁する意識の中、トカゲの顔の女、あの化け物が現れた。
コロシタ、オマエ、ガ、──嘘だ!──オマエ、シッテル、、ハズダ──嘘だ!──オモイダセ!──母さんは生きてる!──ワスレルハズ、、ガナイ、オマエハ、──違う!──コロシタ、オマエガ───嘘だ!───ウソデハナイ──嘘だ!───オモイダセ!──嫌だ!───オモイダセ!──違う!───オモイダセ!──嘘だ!──嘘だ!──嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!
頭を抱え呻き声を上げながら床を転げまわるハルト。
電気コード──母さんが倒れてた──首のコード──巻き付いて──死んでる──誰が殺した──雪が降っている──ああ、僕が、殺した──金魚──雪が降っている───僕が殺した───金魚を殺した──金魚を殺した──母さんの金魚殺した───ごめんなさい──ごめんなさい──殺した───母さんの金魚殺した───母さんを殺した───誰が───母さんを殺した───僕が殺した───金魚を殺した───母さんの金魚殺した───母さんに殺される───殺した───母さんを殺した───誰が──殺した───僕が───母さんを殺した──コロシタ──コロシタ───アアアア!───アアアア!───アアアア!──アアアアァァァ!───ごめんなさい───ごめんなさい──誰が──殺した───アアアア!──アアアアァァァアアア!
───アアアアァァァ!
───オ、マエガ、コロ、シタ、ンダ──違う!──違う!──違う! 違う! 違う!──違う!──違う!──違う! 違う! 違う!──違う!──違う!──違う! 違う! 違う!──違う!───アアアア!───アアアア!───アアアアァァァ!───アアアア!───アアアア!───アアアアァァァ!───アアアア!───ワアアアアァァァ!
───アアアア!───アアアア!───アアアアァァァ!───アアアア!───アアアア!───アアアアァァァ!───アアアア!───ワアアアアァァァ!
絶叫するハルト。
ワスレル、ワケニハ、イカナイ
人口海馬によって遮断されていた黒い記憶が堰を切ったように再生された大脳のシナプスを通じハルトの精神内に流れ込む、受け続けた暴力の数々、雪の積もった校庭の事件、施設での生活。
母親と暮らしていたアパート、虐待の記憶、体中に蘇る痛み、押し寄せて来る忌まわしい暴虐の日々……。
ウワアアアアァァァ!───アアアアァァァ!アアアア!───アアアアァァァ!アアアア!───ワアアアアァァァ!
──嫌だ!──違う!──嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!──嫌だ!──違う!──嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!──嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!──嫌だ!──違う!──嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!──嫌だ!──違う!──嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!──嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!──嫌だ!──違う!──嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!──嫌だ!──違う!──嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!──嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!───ワアアアアァァァ!───アアアアァァァ!アアアア!───アアアアァァァ!アアアア!───ワアアアアァァァ!──嫌だ!──違う!──嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!──嫌だ!──違う!──嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!──嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!──嫌だ!──違う!──嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!──嫌だ!──違う!──嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!──嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!──嫌だ!──違う!──嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!──嫌だ!──違う!──嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!──嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!───ウワアアアアァァァ!───アアアアァァァ!アアアア!───アアアアァァァ!アアアア!───ウワアアアアァァァ!
───アアアアァァァ!アアアア!───アアアアァァァ!アアアア!───ワアアアアァァァワアアアアァァァ!───アアアアァァァ!アアアア!
───ウワアアアアァァァ!───アアアアァァァ!アアアア!───アアアアァァァ!アアアア!───ワアアアアァァァ
ァ!アアアア!───ウワアアアアァァァ!
───アアアアァァァ!アアアア!───アアアアァァァ!アアアア!───ワアアアアァァァワアアアアァァァ!───アアアアァァァ!アアアア!
───ウワアアアアァァァ!───アアアアァァァ!アアアア!───アアアアァァァ!アアアア!───ワアアアアァァァ
───アアアアァァァ!アアアア!───アアアアァァァ!アアアア!───ワアアアアァァァワアアアアァァァ!───アアアアァァァ!アアアア!
───ウワアアアアァァァ!───アアアアァァァ!アアアア!───アアアアァァァ!アアアア!───ワアアアアァァァ
"system restore completed
successfully"
システムリストアは
正常に完了しました。
全ての記憶データは
復元されました。
なんだぁ、やっぱり母さんは死んでたんだ。
やっぱり母さんを殺したのは僕だったんだ。
大丈夫か! ハル! おい!
───あぁマスター
その時、あれだけハルトを苦しめた偏頭痛が嘘のように消えた。
ハルトがゆっくりと身体を起こす。
ハル……
ハルトの放つ気配、その荒涼としたたたずまいにマスターは圧倒されていた。
ハルトの目。
その瞳は悲しい色をたたえている。
ハルトの表情、そこにはもう今までの少年らしさはない。
ハルトが経験してきた血なまぐさい過去。
脳内に全て再現された呪わた黒い記憶。
通常だったら受け入れる事が出来なかったかもしれない。
拉致られた 家族 救い出せ
しかし現在置かれてる状況が奇しくもハルトの精神の崩壊を防いだといえた。
───ひどく傷めつけられた
酷く苦しんでたけどもう大丈夫なのか?
もう大丈夫。頭痛はおさまった、子供達とレイコさんを探そう
ハルトがマスターに淡々という。
やり返せ
ああ、でも……
すっかり変わってしまったハルト、まるで感情を切り捨てたような面持ち。
!?
ぞっとした。
マスターの背筋に冷たいものが走る。
ハルトの変化に戸惑いを隠しきれないマスター。
ヤツらを殺したってかまわない、やり返せ
なあハル、いったいどうしたんだ。いつもと違う。まるで別人に見える……
心配げにマスターがいう。
心配ない、マスター。これが本当の僕なんだ
ハルトは無表情のまま
そういった。