オペレーション・シンデレラ
オペレーション・シンデレラ
あー、もうやってらんねえ!
家の掃除をしながらぼやく。
継父の鞭で打たれた背中が未だヒリヒリしやがる。
兄たちには殴られるわ蹴られるわで最悪だ。これが痛いのなんの。
唾吐かれるしそれ口はいるし……ほんと、最悪。
うげぇっ
思い出しただけで吐き気がする。
全く、何でこの俺様が、こんな扱いを受けなきゃならねえんだ!
お袋もお袋だぜ。何であんな男と結婚したんだか。
連れ子だった俺は継父たちよりイケメンなのが気に入られなかったらしく毎日のように虐めにあっていた。
家から出る事も許されやしねえ。
一応、お使いを頼まれる時は出られるし、今だって親父たちがいないのだから自由に出入りできるんだが。
それがばれた日にはきっついお仕置きが待っている。
買い物だって、酒買って来いと言われて渡されるのは明らかに足りない酒代だけ。
つまりは盗んで来いって事だ。勿論、そんな悪事働く気も言う事を真面目に聞く気もねえから素直に酒何て買ってきてやらねえけどな!
ならどうやってその場を凌ぐかって?
決まってるだろ。代用品を、使うのさっ!
親友にお願いして適当な薬草を分けて貰って、それを汲んだ井戸水と混ぜて瓶に詰める。
瓶は酒屋からパクって来た。一度それがばれたけれど、どうせ捨てるものだしくれてやると渡して貰えた。
それから何度か貰っている内に酒屋の店主と仲良くなって、今では俺と愚痴の言い合いをしてくれる仲だ。
因みに親父も兄たちも舌が馬鹿なのか、それを盗んできた美味い酒だと思い込んで喜んで飲んでいる。
腐った水に混ざった良く分からん薬草で喜んでるとか、こいつら馬鹿だろ!
真実を知った時どんな顔するか、想像しただけで片腹痛いぜ。
それ飲んで腹壊しても原因がそれだって気づかないくらいだもんな。マジで馬鹿。
そんな親父たちだけど、今は留守だ。
夜の散策だとよ。
大方どっかの貴族の家にでもお邪魔してどんちゃん騒ぎしてるんだろうな。