空から一つの隕石が地球上に落下する。

 隕石の衝突はそれに応じたクレーターが発生するのが普通だ。それなのに何故、すぐ目の前に隕石が落下したというのに私は無事なのか。

サイド─日笠 明─

 隕石の大きさは高さが150㎝程。周囲の大きさもそれに準じたものだ。

 衝撃で強い風が来た程度で済んだのは何の奇跡か。隕石の落下によってその真下のみが抉れ沈んでいる。

 異様な光景。日本人特有のものからか、私は、そして周囲の人々も次々と携帯を取り出しその様子を撮影していた。

 隕石が脈を打った。

 嫌な予感がした。

 有り得ない状況下でさらにもっと有り得ない事が起きようとしている。

 逃げねば。

 脳が警報を鳴らす。

 一体何が起きるのか。

 興味心がその場に体を踏み止まらせる。

 脈は段々と強くなって行く。

 その光景を魅入るように見る私。

 気づけば周囲の人々が混乱からか奇声を上げて逃げ出していた。

 

 目が合った。

 何と?

 脈打つ隕石の中からぎゅるりと飛び出た大きな目玉。

 それの視線が、私を射抜く。

──っ!

 逃げなければ。

 そう思うも、恐怖で足が竦み動きが取れない。

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