今年の冬は暖かい。とは言うけれど、実際冬なのだから寒いものは寒い。

「プロデューサー!寒い!さーむーいー!

我侭も度が過ぎると質が悪い。けれど、この子の我侭は「しょうがない」で済ましてしまう。
寒いだけが機嫌の悪い原因ではない。どうやらこちらに非があったようだ。

どうしてクリスマスなのにプレゼント用意してないの!ありすすっごく楽しみにしていたのに!!

突然の仕事の依頼だったのだ。先方の意向に添えるアイドルは加賀美ありす。彼女が適任だった。
珍しく素直に呼び出しに応じたと思っていたら、

プレゼントが貰えると思ったのに!

とへそを曲げている。
クリスマスイベントが立て続けにあった関係で日付の感覚はなかった。みんなにプレゼントを用意していたが、生憎事務所に置いてある。

もー帰る!やだー!

そう説明しても、彼女は納得しないのは分かっていた。寒そうに手を重ねて息を吹きかけている。
あれ?いつもの可愛い手袋はどこに行ったのだろう。

?手袋?
なくしちゃった。気に入ってたのに

しょんぼりとしている彼女を見るのはあまり好きではない。我侭はほどほどにして欲しいが、やはり笑顔が一番だ。

え?プロデューサー買ってくれるの?

ただし、このお仕事が終わってからと伝えて。

やったー!じゃあこのあとデートね?ありすがんばっちゃうもんね!

そう笑う彼女は、やはり素敵なアイドルだ。

pagetop