ラファエルのおかげで、堕天使ルシフェルに関わった者の死に関して、すべてを生き返らせることが許可された。

堕天使を生んだ神の責任なのだから当然よ

 そう、シン達が生き返った。

あ……あれ? 俺どうなったんだ……?

シン……

お、親父……!?

よく頑張ったな……

親父……! 俺、頑張ったんだぜ……親父……ううっ

ほよ?

クレア……!!

クレアー!! うわああああん!!

 クレアの胸で泣きじゃくるシェリー。

あらあら。まだまだ子供ね

クレアー! うわああああん!

貴方は抱きつかないで

お母さん、ただいまー!

お邪魔しまーす

あら、まだ懲りずにうちの娘を狙ってるの?

やっ、そうゆうわけではなくて……まずお友達からですね……

みんな幸せそうでよかった……

 結局、僕の呪いは別次元のものだから、もとに戻ることはなかった。


 すなわち、獅子奮迅のみんなには僕の存在が見えないままだ。

残念だったわね

いいんですよ。僕は僕で得たものが沢山あるから。それに元の世界ではこの呪い、適用されないんですよね?

ええ。なら元の世界へ帰るのね……?

うん。……お願いします

じゃ、いくわよ

 僕の体が浮き上がる。

あっ……

 その時、僕はペンダントを落としてしまった。

これは……?

ヒーチちゃん……

大切な人……

……ありがとな……名前も思い出せない親友

背中を押してくれた人……あたし頑張るよ!

私の婿様……?

おにいちゃん……?

ありがとう……優しい人

僕……生まれてきて良かった……!

この身体で……この顔で……

生まれてきて良かったなあ……!

たくさんの愛を貰ったみたいね。感謝しなさい

みんな……ありがとう……ありがとう、ラファエル様……

 こうして僕の異世界旅行は終わった。



 思えば小学生の遠足のような手探りの旅路は、ワクワクとドキドキがいっぱいで。

 忘れられない冒険だった。




 その後、ラファエル様も天界へ帰られ、もう会うこともなかった。



 でも、ありがとうを言えて、本当に良かったと今でも思う。





 立派な天使に……なってくださいね。





 さようなら、ラファエル様。




fin.



――4年後。

今日でこの部屋ともお別れか

 大学も無事卒業し、就職が決まった拓雄。

 あの出来事があってから、彼は生まれ変わった。

 外見はデブキモオタに戻ってしまったのだが、熱い心を身につけていた。


 憧れのシンのように。

 優しいヒーチのように。

 明るいシェリーのように。

 賢いクレアのように。


 そして、影で支えてくれるラファエルのように。


 拓雄はそんな人間を目指して、これからも獅子奮迅するのであった……。

うわあ!!

にゃ(久しぶりね、この豚野郎)

また天界で何かやらかしたんですか……

うるさいわね。あいかわらずマンホールみたいな顔をして

僕はずっと……ずっと会いたかったですよ

ふん。一つだけ願いを叶えてあげるわ

心から感謝できることですよね?

そうよ。何?

罵倒天使様を……僕の嫁にください!

ずいぶん生意気な豚ね、それで私は幸せになれるのかしら

 拓雄はラファエルを抱き締める。

僕が幸せにします……

大好きだから……

フォークで刺すわよ

 そう言いながらラファエルは、拓雄の首に手を回し、口づけをした。

 どうやら罵倒天使と拓雄の日記は、まだまだ終わらないようだ。

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