とあるお店でパスタを俺達は食べていた。
朝食用のセットで、パスタにスープか紅茶、コーヒーがついてくるらしい。
徹夜になってしまった俺は、眠気覚まし用にコーヒーを選んだ。
レイトの家に行ったら少し眠らせてもらおう……眠い、そう俺はぼんやりと思っているとそこで、
とあるお店でパスタを俺達は食べていた。
朝食用のセットで、パスタにスープか紅茶、コーヒーがついてくるらしい。
徹夜になってしまった俺は、眠気覚まし用にコーヒーを選んだ。
レイトの家に行ったら少し眠らせてもらおう……眠い、そう俺はぼんやりと思っているとそこで、
こら、私より先に寝ないでよ
いえ、昨日から山道を一睡もせずに歩いてきたわけでして……
私だって眠っていないのに
……そういえば追われていると聞いていましたが、実は最近だったり?
追われて逃げまわっている所でたまたま会ったには違いない。
だが私も寝ていないんだからという発言から、そんなに何日も徹夜しているようにフィリアは見えない。
となると追われだしたのはつい最近なのではと俺が思って聞くと、フィリアは頷いた。
そこで俺はある事に気付く。
そういえば俺はフィリアの下僕になったわけだけれど、俺だけ友人の家に少しかくまってもらう……という訳にはいかないだろう。
俺自身が下僕だということも理由の一つだが、彼女を一人にしておくのもなんというか……。
どんなに強い魔法使いでも女の子だし、と思うのだ。
なので、レイトに頼んでみようと思う。
フィリアも眠っていなくて疲れているだろうし、普通のベッドで眠れるならその方が良いだろう。
ただ“神殿”に追われているというのが気にかかる。
そういった意味でレイトに迷惑をかけてしまうかもしれない。
なのでレイトに事情を事前に話しておいた方が良いのではと俺は考えて、
フィリア。
追われている相手については、話しても構わないでしょうか
……誰に?
この街に住んでいる友人です。
かくまってもらう関係上迷惑がかかるかもしれませんし
そうね、泊めてもらえる約束を先に取り付けたら構わないわ
ふふん、と悪女のように笑ったフィリアに俺は少し考えてから、
そういえばフィリアの後を追う、あの追っ手ってどうやってフィリアを探しているんですか?
あー、私の魔力を追跡しているのよね
それってフィリアには特殊な能力があるってことですよね?
追跡には基本的にその人物特有の物が必要になる。
そして魔力のその人固有の波長をみて追跡するのが一般的だ。
俺の場合は、ユニコーンの末裔という特殊能力の魔力を追跡するように。
となると、“魔女”だとそこそこいそうなので、それ以外の特殊能力がフィリアにはあるのだろう。
そう考えて俺は口にするとフィリアが面白そうに俺を見て、
よく知っているわね。
まあ一度叩き伏せた時に、追跡用の道具を壊したから少しは時間が稼げると思うけれど
そうですか
追手について考えるなら……そうね、貴方、友達はこの街の人以外にいる?
い、一応は
それで貴方の家から一番近い友達の家は何処?
えっと……ここかな?
フィリアの言わんとすることが分かり俺は答える。
普段は学園に集まって寮で生活をしていたけれど、今、この春休みはそれぞれの実家にいるはずなのだ。
そして家を出た俺が尋ねるとするなら自分の実家から近い友人の家だろう。
しかも一番親しい友人の家がそこなのだ。
更に付け加えるなら親同士も仲が良い。
そこを俺が訪ねるだろう事は、俺の家族はある程度予想がついているのかもしれない。
つまり待ち伏せされるか、そこにいく間に襲われる。
そこでフィリアが俺の顔を見て何かを思いついたらしく笑い、
そうね。
後で、貴方のお友達の姿を教えてもらえるかしら?
それはかまいませんが、何かする気だったり?
……もうすぐ朝食がきそうね
な、何をする気なんですか!
まあまあ
それ以上フィリアは何も言わなかった。
そして食事を食べ終えた俺達は、俺の友人レイトの屋敷を目指したのだった。
やってきたのはこの街一番のお屋敷だった。
つまり俺の友人レイトのいる家である。
レイトは貴族であり、現在増えている貴族の地位を購入した普通の人間ではない。
“吸血鬼”というのをご存知だろうか?
やたら弱点の多い、血を吸う幻獣の一種である……のだが。
ふーん、“吸血鬼”なんだ
……あまり興味がなさそうですね
だって蚊みたいなものでしょう?
“吸血鬼”に関しての話はほとんど迷信だし。
やっぱり現存する“幻獣”でそこそこ多いからかしらね
フィリアは“幻獣”に詳しいんですね
その程度はね
でも結構怖いと思う人が多い気がするだよな。
“幻獣”と言っても人間とそんなに変わりがないのに
まあね。
でもやっぱり血を吸うのが怖いのかしら、“吸血鬼”は
確かに怖いですよね
ただ私の場合、“吸血鬼”の実物を見たことがあるのがね。
考えてみて。
海辺のビーチで日光浴をしている“吸血鬼”。
彼女サーフィンが得意でね……流れる水に弱いって話はどうなったのかと
あー、確かに
やたら弱点が多い病弱な感じなのも、期待してしまうのかもね。
屈辱に震える“吸血鬼”を
え?
さて、もう少し移動しましょう。
あそこの家の影が屋敷を見張るのにはちょうどいいわね
あ、あの、今、不穏な言葉が聞こえた気がしましたが
さて、移動しましょうか
俺に問いかけに答えないフィリア。
俺は嫌な予感を覚えて、先ほど店ではぐらかされた内容について、必死で何をするつもりなのか聞き出そうとする。
だがフィリアには、笑顔でかわされてしまう。
そもそもどうしてこんな場所ではりこみをする必要があるのか。
フィリア、何で正面から正々堂々と……
全くユニは、やっぱり調教が必要ね
ど、どうしてですか!?
既に貴方の家族が彼らに手を回している可能性は考えられないのかしら
あ……
本当に気楽ね。
だからこの外で待っていて、貴方の友人が出てきた所で少し事情を聞けば、貴方の家族の手が伸びているか分かるでしょう?
もっともです……
だからその友人の特徴を教えてちょうだい?
とりあえずは家族とぐるになっていたら嫌なので、レイトについてフィリアに教えた。
ふーん、女の子の血が飲みたいと嘆いていたと
たまに血が飲みたくなるけれど、女の子の友達には気持ち悪がられるから出来ないしってことで、俺の血をあげていました。
いつも何で男の血なんだと嘆いていたな……俺、血を吸われていたのに。
何で文句を言われるんだろう
……そう。
でも姿がわかったら、それで十分だわ
フィリアが笑う。
同時にフィリアから妙な魔力を感じた気がした俺だけれどそこで、
私たちは運がいいわ。
もうすぐ出てくる
そのフィリアの言葉通り、レイトが俺達の前に姿を現したのだった。