うおおおおお!!

 僕は光の斧を持って、魔術師に切りかかる。

ぐはっ……!

 斧は魔術師の胸に刺さり、血が噴き出した。

よくやったな……親友

シン……!

 魔術師はその場に倒れこむ。

と同時にシンも倒れこんだ。

シン!!

ありがとな……俺なんかと友達になってくれて……

そんな……死ぬなよ! これからだろ!

俺のこと、忘れないでくれよ……

なんだよ! 忘れるもんか!

僕にとって、初めての親友なのに!!

ああ、俺も短い間だったけど、昔からの友達かってぐらい、好きだったぜ……

お前は、幸せになれよ……

 そういってシンは、こと切れた。

ああああああー!!!

 一方シェリーを守ったクレアも、お腹に大きな穴が開いて虫の息となっていた。

クレア! しっかりして!

そんな……自分にバリアを張ればいいのになんで!

ごめんね。もう魔力が尽きていて

だからって……自分の体を盾にするなんてクレアらしくないわ!

そうね……頭より身体が動くってこうゆうことだったのね

そんな、あたしなんかのために!

ばかね……私は天才よ。貴方はこれから、私の死が無駄じゃなかったってことを……証明するの……

いやよ、あたしのそばにいてよ! これからも! ずっと!!

頼んだわよ……

 そしてクレアも、死んだ。

 しかしその時、倒れたはずだった魔術師の身体から、黒い何かが出て来た。

 そいつは人型になって現れた。

なんだあれは!

この体はもう使えん……

 そいつは倒れている魔王の体へと吸い込まれた。

 魔王が立ち上がる。

……そんな馬鹿な!

貴様達、許さんぞ……

この身体が修復出来次第、必ずや世界を手に……

そう魔術師が言った後、僕らは城の外へとはじき出された。

これは……異次元結界

なんですかそれは!?

入ることもできないが、中にいる魔術師も出ることができないものだ

おそらく治癒魔法で体を修復する気だな

まだ、終わってない……ってこと?

そんな……クレアもシンも……何の為に……

うわああああああ!!

 僕は叫んだ。

拓雄さん……

なんでシンが死なきゃいけないんだよ!!

僕があの時、魔王を先に倒していたらこんなことには……!

ちくしょう……ちくしょう! ちくちょう!!!

なんで僕みたいなクズが生き残って……

にゃ(拓……)

ううっ……ラファエル様……

にゃ(ひどい世界ね……)

許せない……

死んでも復讐してやる……!

 シンとクレアの死。


 魔王の体に乗り移り、消えた黒の魔術師。

 こうして、魔王軍との戦争は一時休戦となった……。

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