では、行ってきますわ

 一日目、朝。

 マリとクレア、そして僕とラファエルの四人は、魔王城手前の森へと向かった。

この辺りが限界ね

 例の空間魔法を操る男が認知できる、ぎりぎりの場所で待機する僕ら。

マリさん、頑張って

ええ。必ず連れてくるわ

無理はしないで。連れてこれなくても絶対に帰ってくるのよ

はい

 そういって、マリは魔王城へ単身向かった。

 日が沈む。

マリさん、遅いな

信じましょう

もうすぐ十二時間だよ! ヤバいんじゃない!?

にゃ(静かに!)

ん……やったわね、マリ

 例の男とマリがこちらへやってくる。

このあたりに怪しい奴がいたんだな?

ええ、貴方に頼るのが一番心強いと思いまして

へっ! 俺は無敵だからな!

お願いします

確かに気配があるな

お、おいっ!

 そこで僕が姿を現す。

お前は! 魔王様を裏切った奴隷の!

どもっ

きーさーまー!

 男が駆け寄ってくる。

うわわわわ

バインドサークル・オン!!

 そこへ、クレアがあらかじめ書いておいた魔法陣を発動させた。

ぐあっ、身体が動かねえ!

さあ、どうやっつけようかしら

にゃ(ファイアボール)

いてっ!

 そこへいきなりラファエルが小型のファイアボールを放った。

にゃ(ファイアボール)

うげっ!

にゃ(ファイアボール)

ぎゃ!

にゃ(ファイアボール)

ぐわああああ……か、勘弁してくれー!

ラファエル様、いつか吹っ飛ばされた恨みがたっぷり込められてる感じですね……

お前ら、こんなことをして、俺が帰ってこないことが分かったら、絶対この女を探しにくるぞ

それなら大丈夫

とりあえず、永久に目覚めないよう封印魔法を施しておくわ

ぐわああああ……

 こうして、やっかいな魔族の男を、地中へと封印することに成功した。

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