初めてのイベント一般参加は文子にとって実りあるものだった。
 オンラインノベルのファンの同人作家に直接会えた。Twitterで気になっていた本も買えた。
 今まで通販しか手に入れる手段がなかった本たち。
 それが、今。文子の手の中に。

 浮かされたような会場の熱気は帰宅した今も、鞄の中に留まっている。そんな気がする。

文子

楽しかった!
A先生が! Bさんが!!

文子

無料本もチラシもたくさん!

 本に挟んで持ち帰った幾枚ものチラシ。新刊の案内、ペーパーと呼ばれる単独の読み物。
 その中に。

文子

イベントの、チラシ?

 鮮やかながらも落ち着いた色合いのオレンジを背景に、黒猫が描かれている。そして。

『文字書きさん、
いらっしゃ~い!!』

 上部に大きく書かれたその文字が、目の中に飛び込んできた。

文子

文芸同人誌即売会?

 文子は大事な本を収めた棚へと目をやった。
 買ってきた本を収めた袋の中を覗く。

 並ぶ本は文庫サイズの物が多い。序でA5。あまり大きな本はなく、あってもほんの数冊だ。
 文子は小説をこよなく愛していた。

文子

文章系……。

文子

行ってみたいかも!

 文子は詳細を知るべく改めてチラシに目を落とす。

文子

Text-Revolutions っていうのか

文子

日付は……行けそうかな?

文子

文章系だけで150サークルも募集!?

文子

たくさん! 嬉しすぎるでしょっ!!

文子

それか……

文子

……ら?

れぼん

ぼん

文子

ぼん?

れぼん

れぼんちゃんだぼん

文子

れぼん……ちゃん

 夢中になって読んだチラシの先。いつの間にか黒い子猫がちょこなんと座っていた。
 赤いリボンを閃かせ、文子を澄まして見上げている。

文子

か……

れぼん

Text-Revolutions、略してテキレボ、公式マスコット、れぼんだぼん!
文子にテキレボのことを教えたくって来、

文子

か……

れぼん

か?

文子

かわいいーーー!!

れぼん

×○▽◇※!?

テキレボへ行こう

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