俺の前に仁王立ちで現れた彼女は、不敵な笑みを浮かべて俺に告げた。

　突き付けられた三つの選択肢。
　そして俺は……迷わず、二番目の選択肢を選んだ。

こうして俺は彼女の“下僕”になりました

　　　　　　-出会い編。完

さて、どうして俺が彼女と出会うはめになったのかについて話そうと思う。

それは、先述の時間より数時間遡る。

とぼとぼと土のむき出しの道を歩きながら俺は呟いた。

俺の名前は、ユニ・リライト。16歳、男。

ちなみに以前容姿に関して、友人のレイトに聞いたことがあったが、

以下略。

と、こんな風に以前友人に話した所、こんな展開になって猫耳をつけられてしまったので、多分顔はいい方だと思う。

しかし、こんな風に俺が思っていたのには理由があって、

俺はそこで幸せが走って逃げていきそうなため息を付いた。

全ての原因はそう、俺がユニコーンの末裔に生まれつてしまったことに起因しているのである。

ユニコーンとは幻獣の一種で、特殊な力が使えたりする。

そう俺は一人呟く。

確かにユニコーンの末裔は絶滅危惧種で、特殊な力が使えるので保護しようというのも十分理解できる。

だが、その能力は男女の性別が関係ない。

しかも俺には弟や妹もいるから、いいと思うのだ。

つくづく俺は運が悪い。

人気のない山道を歩きながら、こんなほぼ着の身着のままに俺が家出しなくちゃならなくなった自分の運の悪さにため息が出る。

そう、その原因は今から数時間前の事だった。

突然、母親に呼ばれてやってきた俺。

にこやかに微笑む母親に、俺はいつになく嫌な予感を覚えていた。

しかもこのお茶会には、そこには祖父母、父や弟、妹達も揃っていて……。

何が目的かは分からなかったが、俺はこの時油断していたのだと思う。

そしてすぐに俺はその予感が正しいと俺は気付かされた。

口ごもる俺に母親は優しげな微笑を浮かべ、

そう正直に答えてしまったのだ。

今考えれば適当に誤魔化せばよかったのである。

だが俺もまだ16歳だし、子供だしと思っていたのだ。

そこで母親が深々と溜息をつく。

そう、はっきり言って俺の一族は好みが厳しい。

但しそれはユニコーンの血筋なので処女しか嫌だ、とか、誇りが、とかそういったものではない。

そんな俺を見ながら母親が、

即座に俺は言い返す。

現在の貴族社会は恋愛結婚が主流になっているので、自分で選び、口説かないといけないのである。

なので政略結婚などは時代遅れ。

だからユニコーンの末裔である俺が、運命の恋人と結ばれるのにはそれほど障害がないはずなのだ。

だがそんな俺を見て母親は、

俺の理想のお嫁さんを語っていく。

実はユニコーンの末裔であるリライト家は、そのユニコーンの性質、つまり処女だのに代表される様に……夢見がちといわれてしまうくらい、好みがうるさい性格を引き継いでいる。

なので伴侶に対しての要求が厳しく、なかなか伴侶を手に入れられなかったりするのだ。

かくいう俺も、そういったある意味で“ロマンチスト”な面を引き継いでいた。

そこで俺の母親が俺の言葉を遮り、

暗に、彼女が居ないんでしょうと言われた俺は、それ以上は言い返せなかった。

だが、今日は話はそれで終わらなかったのだ。

そんな俺を見て母親が、深々と嘆息した。

　ぽつりと呟いた母の言葉に俺は、不穏な気配を察した。

　このユニコーンの好みの煩い習性は特に男性に強く現れる。

　なので、そのせいで中々結婚できない場合、最終手段として性別を変更する魔法を使うという物があるのだが……（女性になると何故か好みがそこまでうるさくなくなる）。

　俺は即座にその場から逃走した。

　同時に、俺のいた場所に捕縛系の魔法の光が渦巻くのを見る。

　俺はそう叫んで、危機感から着の身着のまま、今までためたお小遣いを手に逃走した。

　そして今に至るのである。