松戸

そう言えば、今日図書館で図書委員が朗読会やっていますけど、竜ケ崎君は行かなくて良いんですか?

竜ケ崎

え?なんで

松戸

去年図書委員をやっていたから、興味があるのかと思って

竜ケ崎

朗読会なー。嫌いじゃ無いんだけど、去年朗読会の後、演劇部に囲まれてめっちゃ勧誘されたから、ちょっと引け腰なんだよ

小絹

そうなのか?

松戸

竜ケ崎君が朗読したんですか?去年は

竜ケ崎

うん

小絹

まぁ、竜ケ崎は舞台に立つのが平気なタイプだから、演劇部としては欲しいだろうな

水海道

せーんぱいっ!おはこんばんちは!

竜ケ崎

よう。ご機嫌だな

松戸

図書委員の朗読会に行ってきたんですよね?どうでした?

水海道

すごかったです!漫研さんの部長さんが読んでたんですけど!

小絹

今年の担当は柏原だったのか

水海道

部長さんが読むと!ぐわって、ぐわって来るんです!

竜ケ崎

へー、柏原って朗読上手いんだ。意外だな

水海道

すごい迫力で!ドキドキしました!

松戸

水海道さん、去年は竜ケ崎君が朗読やったそうですよ

水海道

そうなんですか?

竜ケ崎

そうなんだよ。今思うとそもそも何で図書委員やってたのかわかんないんだけど

小絹

それは常々疑問に思っている

水海道

私、竜ケ崎先輩の朗読も聴きたいです!

松戸

ふふっ、僕もちょっと興味ありますね

竜ケ崎

そう?じゃあちょっとやってみようか。
丁度読みかけの小説があるから、それでいい?

水海道

はい!

竜ケ崎

『私は自らに魔法をかけ、醜い人から美しい獣になりました』

松戸

……?

小絹

……!

竜ケ崎

『強がりは半世紀にわたり……それは余りに幸福な時間でした』

松戸

……

小絹

……

竜ケ崎

『私のbeautyはもう居ないのです』

松戸

あ……

小絹

えっ……と

水海道

すごい!竜ケ崎先輩上手です!

竜ケ崎

そう?照れるなー

松戸

あの、これは……

小絹

これは、その……

竜ケ崎

え?お前らどしたん?

松戸

あの、もう一回……

竜ケ崎

ん?もっかいやる?

松戸

あっ!すいません、やっぱいいです!

小絹

だめだだめだだめだこれはいけない……

竜ケ崎

ホントにどしたん?

小絹

お前、授業中もそんな感じで朗読してるのか?

竜ケ崎

そうだけど、なんで?

松戸

あの、朗読のリクエストとか、来たりしませんか?

竜ケ崎

え?1年の初めの頃は結構恋愛漫画の台詞読んでくれって言われたけど、なんで知ってるん?話したっけ?

小絹

やっぱり……

水海道

先輩人気なんですね!どんな台詞が印象に残ってますか?

竜ケ崎

え?ちょっとやってみる?

水海道

はい!

松戸

え?あの

竜ケ崎

『君とは行けないけど、愛してる』

小絹

あああああああああ……

松戸

うう……神様ごめんなさい……

竜ケ崎

だからどうしたんだよお前ら

小絹

すまない、少し頭を冷やしたいから、ちょっと竜ケ崎と水海道の二人で亀の水槽を洗っててくれないか?

竜ケ崎

おうよ。
水海道、亀だぜ亀!

水海道

えへへー、亀さん!

小絹

……

松戸

……

小絹

声優にハマる声優ファンの気持ちがよくわかった

松戸

確かにあれは、演劇部から声が掛かりますよね

小絹

男の僕でこんななんだから、あれを女子が聴いたらどうなるんだ

松戸

水海道さんは平気そうでしたけど、まぁ。
有る意味、竜ケ崎君は演劇部で無くて良かったというか

小絹

演劇部で無差別爆撃されたらたまった物じゃ無い

松戸

竜ケ崎君は、自分の声の破壊力に気付いていないようですが

小絹

なんで美術科の奴らは日々あれに耐えられるんだ。
それとも耐えていないのか

松戸

美術科の意志の強さはすごいですね……

朗読は図書委員のお仕事

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