恋ってどんなものかしら。
恋、でございますか。
なにか思うところがおありですか?
思うところがというか。
物語だと心臓や体の一部が言うことを効かなくなって、思考も恋一色になってしますでしょう?
そんなことありえるのかしらって。
さて。
私も数万の寿命の中で恋に落ちたことはありませんので。
デーミックくらい長く生きていてもわからないのね……。
これは恋に落ちない人間はどうやっても落ちられないんじゃないかしら。
そういうこともあるでしょうね。
人間の王族には恋はなく、愛はある状態で生涯を終える者もときたま、おりますよ。
え、恋と愛ってセットじゃないの?
セットではありませんよ。
激しく情動を突き動かす恋と、たゆとう大河のごとく相手という海にそそぐ愛は別物です。
恋という大地から愛という急流があふれだすことはあるでしょうが。
そんなものなのねぇ。
不肖私、お嬢様には愛情を注いできましたが恋をしているように見えますでしょうか?
あーあー……たしかに愛と恋は別物ね。
貴方は私のために我を忘れる性質ではないし。
ご納得いただけたようでなによりでございます。