あんずがテレビで披露していたダンスを
完コピしてあんず本人に披露した所。

ガチで引かれ逃げられた時。

俺の隣には見知らぬオタクがいた。

叔父さんは言っていた。

武雄

このマンションは警備は厳重だけど
一応不審者が入ってきたら真守が対処してやれ

武雄

殺さなければ何してもいいから

豚吉

……?

真守

くたばれ糞デブっ!

俺のソバットが炸裂し
マンションのロビーに謎のオタクの悲鳴が響く。

そこにたまたま昼間のバイト帰りに
ネット生配信しながら一人喋りでボソボソ喋りながら帰ってきた
トモが現れた。

トモ

いやー参っちゃうよね。あ、今日も配信するでよろしくーっす。え?いや別に普通でしょあれくらい。上手い範疇じゃないって

豚吉

ひぃぃっ!

謎のオタクはトモの横を素通りし逃げていく。
俺は大声で叫んだ。

真守

おい、友永洋介!
何逃がしてんだ!

トモ

ばっ、てめえふざけんな!!
本名で呼ぶんじゃねえ!
生配信してんのが分かんねえのかよ!!

真守

いいから来い!

俺はトモを引っ張ってマンションの表まで出てくる。
謎のオタクはドタバタと不格好ながらも走って逃げていた。

真守

追うぞ!

トモ

は、はあ!?
くっそ、分かったよ!

真守

待てやコラー!

トモ

ま、待てぇー! ハァ……ゼェ

真守

おい、トモ大丈夫か。まだ100メートルも走って無えぞ

トモ

あ、あの野郎逃げ足は早いみたいだな

真守

お前が口程にもねえだけだ!

トモ

俺に構わず先に行け!

真守

言われなくてもそのつもりだよ!

しかし、本当に逃げ足の早いオタクだ。
最近のオタクはアイドルのライブに通いつめて
ヲタ芸をしまくって動き回っているせいか
やけに体力がある奴がいるとか聞いたことがあるが……
マジなのか。

と、そこに俺を抜き去った一台の原付きバイクが
ちょっと行った所で止まった。
フルフェイスのメットを脱ぐと涼子さんがいた。

涼子さん

何してんだ森野

真守

涼子さん!良いところに!

涼子さん

な、なんだよ

真守

あいつ!あの豚!轢き殺してくれ!

涼子さん

お前は一児の母親を殺人犯にしてーのかよ

真守

花音ちゃんのことは俺に任せろ

涼子さん

よし、あの豚の前にお前を轢き殺す

真守

ま、待ってくれ! 後ろ乗せてくれ!あいつを追ってくれ!

涼子さん

はあ……? これから花音迎えに行くんだよ……

真守

バイクで迎えに行くなよ……

涼子さん

っるせえな。行くんならさっさと乗れよ

真守

っしゃあ!頼むわ!

涼子さん

飛ばすぜ捕まれ!

真守

おっぱいに!?

涼子さん

おらぁぁ!

真守

ぎゃああああああああ!

俺は思いっきり振り落とされた。
そしてゴロゴロと道端を転がり回る。

顔あげるとさっきのオタクが涼子さんの運転するバイクに
見事に轢かれている姿が見えた。

真守

えええええええええ!?

俺の目の前で一児の母が
殺人犯になってしまった……?

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