武雄

真守、マンションの管理人になってくれないか?

真守

……は?

それは大学の授業中に突然きたメッセージから始まった。

送ってきた相手は俺の叔父さんだった。
叔父さんは元々何の仕事をして生活をしているのかよく分からない人だった。

だからある時聞いたことがある。
でもはぐらかしてちゃんと答えてくれなかったけれど。

真守

叔父さんは普段は何をしている人なの?

武雄

秘密だ。狙われているからな。秘密を喋ると真守も狙われるようになっちまうからな

武雄

――で、明日、ここに来てくれ

真守

既に引き受けることになってない?

と駅を指定された。


人の話を聞かないのは昔からそうなんだけど。



とりあえずちゃんと行って断らないと駄目かもしれない。


という訳で指定された駅にきたが、
俺も滅多にこんな都会の駅に来たりしないから場違い感がすごい……。

真守

ちょっとやだ、んもう。
何あの人、便座カバーみたいな帽子被ってる!
都会って怖い!オシャレって怖い

忙しない駅前では、
待ち合わせをしている老若男女がいる。



隣に立ってスマホを弄る男は遠くから手を振りながら歩いてくる女と腕なんて組んで密着しながらどこかへ消えていった。


そんなものを何となく何も考えずに見ていた。








何十分かしたあと。
叔父さんは俺のことを見つけるとふらふらとだらしなく歩いてきた。


俺、森野真守の叔父である森野武雄。

武雄

おお、待ったか?

真守

い、いや、今きた所だよ。

なんだよこれ、初デートのカップルかよ。

武雄

どうした?便座カバーみたいな帽子被った奴を見ちまったような顔して……

真守

……………………。

武雄

ん?どうかしたか?

真守

い、いや何でもない

真守

それより叔父さん、俺やっぱり昨日の話は急すぎて無理だよ

武雄

えー? タダで雇うわけじゃないからいっぱいお金だすよ?

お、お金ですって!?



いや、これは予想外だ。


正直この叔父さんが俺に金を寄越すなんてこと
初めてだし、今もまだ信用できている訳じゃない。


ただ、こんなにうまいこと行っていいものだろうか。

武雄

まあ大変な仕事だからこんなくらいは出すよ?

そんなにいいんですか!?

武雄

まあでもお前が無理って言うなら俺も無理にとは言えないし……

真守

叔父さん……

真守

早くそのマンションとやらに行きましょう

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