あ、えっと、ごめん。
誰だっけ?

・・・

しまった。やっちゃった。

そう思っても後の祭り。
人の顔を覚えるのが苦手とはいえ
これはない。

ごめんね!
名前教えて!

・・・名前?

うん。
私、人の名前とか
覚えるの苦手なんだ。
だから、貴女の名前
思い出せないんだよ。

これから忘れないようにするから
教えて欲しい。
お願い。

我ながら酷い事言ってるなぁ
なんて思っていると。

・・・

彼女はどこか楽しそうに
笑顔を浮かべる。

・・・あれ?
ひょっとして、変なこと言った?

不安な気持ちが、ず~んと。
頭の上に乗っかる感じ。
時々、こういう事がある。
自分では分からないのに
相手は分かってる。
それで怒らせちゃったり笑われちゃったり。
小さい頃は良くやっちゃってたけれど
最近だと少なくなったと油断したら
これだよ。
うぅ、成長しないなぁ、私。

なんて思っていると――

気にしないで。
私の名前知らないの、当たり前だから。
だって・・・榊さんと話をするの
これが初めてだから。

彼女はすまなそうな表情で
私に言ったのだ。



  ――続く

たまには一息ズル休み

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