車内。
運転している真と助手席の咲。
赤信号で停止。

何か明るい音楽でも付けましょうか?

片手でラックから小沢健二アルバム『刹那』のリストを選択。
元気良く『流星ビバップ』が流れる。




真夏の果実をもぎ取るように

僕らは何度もキスをした



やがて種を吐き出すような

固い固い心のカタマリ



流れ星

静かに消える場所



僕らは想いをこらす


やっぱりよしましょう


真が停止ボタンを押そうとする手を止める咲。

内海さんとは5年前に不倫していました。入社したての私の担当になってくれて…初めはとてもその…紳士的でやさしくて、私も次第に心を許すようになっていって…

その事実を職場で知ってる人は?

いないと思います。彼の穏やかな人柄は職場やお得意先で慕われていましたから。誰も想像できなかったでしょう。貴子にしか言った事はありません

そうですか

彼と付き合っていくにつれ、ある時気付いたんです。この人は空っぽの私を観察して楽しんでいるんだって…でも、抗えなかった…私、何も守る物なんてなかったから

咲の手を握り返す真。

よしましょう。この話はもう少し気持ちが落ち着いてから

未明の港。
海辺に反射する朝焼け。
二人係で重り付の寝袋を海に投げ出す。
泡を上げて海深く沈んでいく。

本当だ

落ち着けばこんな簡単に処理できるものなんですね死体って

二度と喋りませんからね。さあ、帰って掃除の続きしましょう

車に乗り込む二人。
エンジンをかけると咲が震えながら真の手を握る。
どっちからとも無くキスする。

!!!

あおい銀行。
営業中も捜査を続ける草野と花園。
咲は受付業務をしている。
ふとカウンターの引き出しを開けようとするとかすかに血痕。
咲が慌ててハンカチで拭く。


続く

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