いちについて

よーーーい

どん。

はい、ノルマクリア

え?

なに? 何か問題でも?

いや、問題ですよね? なにも始まっていませんよね?

なにも? 今ここに私という神(メインヒロイン)が誕生したのに?

なに言ってるんですか先輩……

ところで、先輩

なぁに?

なんでボクにはイラストがないんですか?

ああ、星くんは読者の鏡みたいなアレだから無色透明で構わないの

そんな理由で……

それで、さっきの続きなんですけど……

うん。無色の星くん、なにかな?

その無色ってのいらないです。ボクら学生ですよね?

うん。まあ、そういう設定。2秒で決めたわ

で、なにもスタートしてないんですが、どうすんですかこれ?

なに? 不満があるの?

不満というかですね……

わかった、こうしましょう。

ここはネット小説の基本に返って、星くんは今から異世界に転生でもワープでもして、新生活をスタートしましょう

え?

目が覚めると、そこは見知らぬ風景だった――

見たこともない大きな山――

どこまでも続くかに見える草原――

嗅いだことのない風のにおい――

そして――

頭上には巨大な月――

そう、これから多くの試練が、星くんを待ち受けるのであった――

え? なにこれ?

さあ、勇者星くんの冒険はこれから始まるのよ

いやいやいやいやいや

この導入はないですよ

ダメですよ

マズいですよ

これから星くんは三日三晩彷徨った挙句に倒れてしまうんだけど、目覚めるとそこはベットの中――

あれ? なんだ夢か。と思って周りに目をやると、そこには見たこともない金髪エルフ耳美少女が――

――っていう筋書きなんだけど、どうかしら

………………

安心して、私は神(メインヒロイン)の座からいつもあなたを見守っているから

つづく

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