そうして、彼らの冒険は終わりを告げたのでした――、か。うん、素敵じゃない……
何をしているのですか恵さん。
音もなく声かけないでよ。びっくりするじゃない。
失礼しました。それでは、これから声をかける前に全身の発光装置をONにすることにします。眩しさで気づくかと。
いや、それされたら多分 殴る……
ペカーー
やめろ。おいやめろ。
何の話だっけ。
そうだ。本読んでたのよ、さっきまで。
本は……いいわよね。今まで知らない世界を教えてくれる。たとえ行ったことのない場所でも、まるでその場にいるかのような気持ちにさせてくれるんだ。
エイミの持つデータベースと同じようなものでしょうか。
そうかもね。ねえ、エイミさんは知識しかない場所と、実際に行ったことのある場所とで違いってあるの?
エイミは他の全てのドロイドともデータベースを共有しておりますので――
どこかのドロイドが行きさえすれば、それはみんなの経験ってこと?
……ふうん。人間は、記憶そのものはそれぞれ別物だもの。そこがドロイドとは違うのかもね。
やっぱり自分で直接味わう世界は、単なる記憶とは違う気がする。肌の感覚とか。
でも、それさえも共有知識にできてしまったら。……どうなるか、ちょっと怖い気がするわ。
人類皆ともだち、でしょうか。
知りませんよ、そんな言葉は。