そうして、彼らの冒険は終わりを告げたのでした――、か。うん、素敵じゃない……

エイミ

何をしているのですか恵さん。

音もなく声かけないでよ。びっくりするじゃない。

エイミ

失礼しました。それでは、これから声をかける前に全身の発光装置をONにすることにします。眩しさで気づくかと。

いや、それされたら多分 殴る……

エイミ

ペカーー

やめろ。おいやめろ。

何の話だっけ。
そうだ。本読んでたのよ、さっきまで。

本は……いいわよね。今まで知らない世界を教えてくれる。たとえ行ったことのない場所でも、まるでその場にいるかのような気持ちにさせてくれるんだ。

エイミ

エイミの持つデータベースと同じようなものでしょうか。

そうかもね。ねえ、エイミさんは知識しかない場所と、実際に行ったことのある場所とで違いってあるの?

エイミ

エイミは他の全てのドロイドともデータベースを共有しておりますので――

どこかのドロイドが行きさえすれば、それはみんなの経験ってこと?

……ふうん。人間は、記憶そのものはそれぞれ別物だもの。そこがドロイドとは違うのかもね。

やっぱり自分で直接味わう世界は、単なる記憶とは違う気がする。肌の感覚とか。
でも、それさえも共有知識にできてしまったら。……どうなるか、ちょっと怖い気がするわ。

エイミ

人類皆ともだち、でしょうか。

知りませんよ、そんな言葉は。

02 読書:本の中の世界は、どこにあんのかな

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