石ノ宮中学 校門付近 外

はぁ…やってられないわよ。もう中学生なのに。なんであんな暴力女と一緒に鬼ごっこなんてしなきゃいけないわけ?

暴力女で悪かったな?

…………そうね、間違えたわ。ストーカー女さん?

ルール違反だろ。範囲はこの校庭の中だった筈だけど?

ルール?っていうか、貴方達はこんなゲームを何真面目にやろうとしてるわけ?バカじゃないの?

そうかしら?赤蘭さんも遊んでみたら案外楽しいかもしれないわよ?

綾乃女さん…貴方はもっと利口な人だと思ってたのに…残念ね。家の名が泣くわよ?

あら?私の家の事をご存じだったのね?

それは勿論。この辺りの名家で『綾乃女』を知らない家なんてないわよ

そうね~。確かに名家の生まれで『綾乃女』と『赤蘭』を知らない家は無いかもしれないわね

…あら?知ってたのね

勿論。『赤蘭』っていえば有名だもの

そう?光栄ね。ありがとう

いえいえ

おい、今はそんな事は関係ないだろ?

あ、そうね…赤蘭さん学校に戻らない?今からまたやり直して一緒に…

嫌よ。なんで私がこんな事しなきゃいけないわけ?こんな事に何の意味があるのよ?

それは私も分らないけど…

意味とかじゃなくてさ、子供じゃないんだから、みんなの和を乱すなよ?いいから戻るぞ?

だから嫌だって!…っていうか貴方がよく和を乱すなんて言葉使えるわね?ちょっと信じられない…

さっきの事を言ってるならお前も人の事は言えないだろ

何言ってるの!?私はただ皆の意見を代弁してあげただけよ?口や態度に出さなくても、皆もあの場は私が言った事と同じ事を考えていた筈よ!?

客観的に見たらどっちもどっちな気がしたけど?

あら?客観的なんて難しい言葉を知ってるのね。でも、皆さん私を庇って貴方の行動を止めていたわけじゃない?それってつまり貴方を敵って認識した事になるのではないかしら?

よく口がまわるな。いいから戻れよ?みんな、お前の為に校庭を探してるんだから

別に私が見つからくても授業的には問題ない筈だけど?ほら?もう三時間目なんだし、今更仕切り直して参加しても意味がないでしょ?

お前な…いいから戻れよ?いくぞ

私は赤毛の腕を掴んだ

ちょっと!触らないでよ!!

私も触りたくて触ってるわけじゃない。お前が自分で校庭に戻らないから仕方なく触ってるんだよ!それくらい察しろよ

はぁ?もう、ちょっと…綾乃女さん!何とかしてよ!

ごめんなさいね。でも今は校庭に戻るのが一番良いと思うの?だから戻りましょう?

そう…分ったわ。分ったから離してくれない?自分で戻るから

………

…ソノ

…分ってるよ

私は赤毛の腕を離す事にした

はぁー嫌だ、嫌だ。腕が赤くなっちゃたわ。保健室に行って診てもらわないと。あと、この事は全て学校に報告するからそのつもりでいてね?

お前、いや…好きにしろよ

えぇ、勿論。好きにさせてもらうわ。それじゃ

そういうと、赤毛は校門の方に歩いて行った

今回は抑えられた…あっぶねー。本気で殴りそうだった

偉かったわね。ソノ

そういうとアヤノは、よしよしと私の頭を撫でた

…私はネコかよ

私にはライオンが目の前にいるシマウマを襲わなかったくらい偉かったと思うのだけど?

どんな例えだよ…しかも、全然嬉しくないし

ふふ。でも偉かったわよ。ソノ…えいっ

おわっ、ちょ、ちょっとアヤノ

また、アヤノが抱きついてきた

ふふ。ソノ~

おい、ちょっと、どうしたんだよ?アヤノ

うん?だって嬉しかったから…

え?

なんでもない。さ、私達も戻ろ?

体を離したと思ったら、今度は手を握ってきた

ちょ、おい。アヤノ?

行こう。ソノ?あ、もしかして嫌だった?

別に嫌じゃないけど、さ…その、なんか恥ずかしくてさ

え?…もう…可愛いな~ソノは。大丈夫よ。校庭についたら離すから、ね?

あ、あぁ…うん。分ったよ。行こう

そういうとアヤノは私の手を強く握るのだった

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