イーソン卿に唆され、本間博士をちょっぴり信用できなくなってしまった高円寺。


彼は、どうしようもない気持ちを抱えたまま、扉の前に立っていた。

高円寺コウジ

本間博士…

高円寺コウジ

なんで始めから扉のこと、言ってくれなかったんだろう

高円寺コウジ

言ってくれてればこんな…

高円寺コウジ

扉の向こうの部屋で、すこし気持ちを落ち着けよう…

高円寺コウジ

高円寺コウジ

扉に、ダイヤル式の鍵がついてる…

高円寺コウジ

そうか。博士が、ピッキングがどうとか言ってたのはこれだったのか

高円寺コウジ

こうしておけば、扉の鍵は開錠できても、ダイヤル錠を開錠しなきゃ、扉は開かない…

高円寺コウジ

まあ、イーソン卿やシンが開けられないようにするためなんだろうけど、これじゃ俺のパーソナルスペースが…

高円寺コウジ

4ケタの数字かあ…。当てずっぽうじゃあなあ…

語呂合わせとかは?

高円寺コウジ

語呂合わせかあ…

高円寺コウジ

ってだれだよ!

高円寺コウジ

前もこんなことあった気が…。幻聴かな…
病んでるのかなあ…

高円寺コウジ

語呂合わせか…。鍵をつけたのは、博士かナミコさんだもんな…

高円寺コウジ

『ナミコ』で『735』とか?そんな簡単すぎるよなあ…

高円寺コウジ

『735』じゃ、3ケタだから頭に『0』入れて、『0735』と…。こんなんで開くわけ…、

高円寺コウジ

開いた…っ!

高円寺コウジ

セキュリティ甘すぎるでしょ…

高円寺コウジ

まあ開いたからいいか…

高円寺コウジ

お邪魔しま…

高円寺コウジ

!?

コロック

やあ。久しぶりだな

高円寺コウジ

久しぶり…?

高円寺コウジ

おれ、おまえ、しらない

コロック

ははは、まあ落ち着け

高円寺コウジ

…もしかして、姿のない声の主はおまえだったのか?

コロック

そうだ。テレパシーってやつかな、お前たちの言葉を借りれば

高円寺コウジ

コロック

聞きたいことがありすぎて、混乱しているようだな

高円寺コウジ

まあ…

コロック

私の名はコロック。この部屋の住人だ

高円寺コウジ

この部屋の住人…? あ、勝手に入ってすみません…

コロック

律儀だな、君は。きっと素晴らしい“親御さん”のもとで育てられたのだろう。

いいんだ。住人ではあるが、持ち主ではないからな

高円寺コウジ

あなたは人間ではないですよね

コロック

御名答

高円寺コウジ

じゃあモンスター…?

コロック

この辺りの有象無象と一緒にしてほしくはないが、君たちにしてみれば同じものだろう

コロック

ここに長居しない方がいい。この部屋はおまえたちの世界とは時間の流れが異なる。こっちの方が速いんだ

高円寺コウジ

そういえば、思い当たる節が…

コロック

それに天井もないから、魑魅魍魎がこの部屋に入ることは容易い。

鍵はきちんと閉めておけ。やつらがそっちに行ってしまうかもしれん

高円寺コウジ

じゃあ、あのモンスターたちはこの扉から?

コロック

大昔、この扉から出て行ったモンスターたちの生き残りだ。長らくこの扉は開けられていなかったからな。もっとも私にしてみれば、ついこの間のことだが

高円寺コウジ

この扉はいったい…

コロック

長居はするなと言ったはずだが。扉のことなら、俺よりまず、本間とやらに聞いてみたらどうだ?

高円寺コウジ

コロック

なにをくよくよしている

高円寺コウジ

だって、本間博士は…

コロック

お前が奴のことを知らないのは、知ろうとしていないからだろう

高円寺コウジ

コロック

おまえから働きかけたことがあるか? 尋ねられてないから答えていないだけかもしれんぞ

高円寺コウジ

コロック

本間はおまえに扉のことを教えた。これはおまえのことを信頼していたからだろう

高円寺コウジ

…!

コロック

むしろ、彼らをだましているのはおまえだ。あんなことやこんなことのためにこの部屋を私物化しようと黙っていた

高円寺コウジ

…ごめんなさい

コロック

わかったら、彼らのところに戻りなさい

高円寺コウジ

また来てもいいですか

コロック

そりゃもちろん。この部屋の正当継承者はおまえだからな

高円寺コウジ

え…

コロック

気付いてたくせに

高円寺コウジ

まあ…

コロック

早く行きなさい

高円寺コウジ

…うん

コロック

コロック

佐依子さん、あなたの息子は立派に育ちましたよ…

高円寺コウジ

…ただいま

本間マコト

おかえり。遅かったね

高円寺コウジ

まあちょっと寄り道してて…

本間マコト

で、奴らのことで分かったことは?

高円寺コウジ

…奴らは、扉を解放して世の中を浄化させるとか言ってたけど

本間マコト

浄化…? とんでもない! そんなことしたらこの世界が混沌に陥ってしまう

高円寺コウジ

…博士

本間マコト

ん?どうした

高円寺コウジ

博士はなぜ扉の研究をしているのですか?開ければ世界が混沌に陥るとわかっていながら…

本間マコト

本間マコト

…高円寺くん。今まで黙っていてすまなかったな

高円寺コウジ

…!

本間マコト

私が扉を研究する理由。それは…

ついに本間博士から真相が明かされる!

あまり期待せず次回をお待ちください…。

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