暇ですね
せやなー
じゃあ仕事してくださいよ、博士
あー最近扉の見回りしてねーや
しっかりして下さいよ。“扉”あってのマジガチリアル研究所なんですから
せやなー
…
…あ!
ちょっと博士!高円寺さんの前で扉の話は…
…扉って
あの扉のことか?みんな知ってたの…?
てことは、『俺の秘密基地や!』とか思ってたけど、バレバレってことじゃん…
…
…
…
…あの、
高円寺くん
ぎくっ
…君には伝えてもいいだろう。…言っておかなければならないことが
博士…
いいんだ。おそらく彼こそが…。
…君には秘密にしていたが、この研究所からすこし離れたところに、不思議な扉がある
知ってる…
実はこの扉、鍵は刺さっているのだが、開錠することも、開けることもできない扉なのだ
それは知らない…
え?俺が知ってる扉は開けられたんだけど…
私はこの扉をずっと研究してきた。詳細な研究結果については長くなるので追々話すとして、重要な点だけ伝える
…はい
私が出した結論は、『この扉を開けられるのは、扉に選ばれし、真の超能力者だけ』ということだ
なるほど、だから俺開けられたのね。選ばれちゃったのね。綾鷹なのね
てか博士、やっぱり僕の超能力認めちゃってるよね
まあ半信半疑ってとこだな
頑固だなあ
だから最後のテストだ
!?
君に扉が開けられるか挑戦してもらう
…まじ?
やばい!鍵は俺が持ってる。今、行ったら鍵がないことがバレっちまう
正直に言えばいいのか…。そうすればここで、超能力者であることを証明できるわけだし
…いやまて!あそこは『俺の秘密基地』!
俺が開けられないってことにしとけば、おそらく、他の誰も開けられない。
すなわち半永久的にあの部屋を私物化できる…!
どうしよう…
さあ高円寺くん。最終テストだ!いざ扉の前へ…
ちょっと待ってください!
どうした?
ちょっとトイレに
すぐ終わるから我慢しなさい
いや最終テストですよ?最高のパフォーマンスのために排便を済ませておきたいんです
おう!そのアスリート魂、関心だな
アスリート魂…?
ちょっくら行ってきます
おう!便器にハットトリックかましてこい!
ハットトリック…?
やっぱ、あそこは俺の大事なプライベートスペースだ…
安寧の地をみすみす手放すもんか…!
とりあえず扉のとこまで瞬間移動だ!
ついたぞ…
どうしようか…
そうだ。とりあえず、鍵を戻しておいて、最終テストで開けられないふりをしよう。こうすれば扉は俺のもの…!
よし、鍵を…
…いや。もしこの鍵を指し直して、一旦研究所に戻ったとする。そのあと、テストのために、研究所から3人でここに戻ってくるわけだが、そのわずかな間に他の超能力者がここに来たら…!
もしその超能力者も選ばれし者だったら…!
この部屋はそいつのものになってしまう…!
それはまずい…
どないしよう…。早く研究所戻らなきゃだし…
…
せや!
他の鍵をダミーとして刺しておけば、他の人に扉は開けられないし、博士たちも欺ける!
ダミーの鍵か…。なにかあるかな…
…あ。ポケットに実家の鍵
この鍵無くなると、じっちゃん、ばっちゃんが留守の時実家に戻れなくなるけど・・・
まあ、こんな辺鄙なところにわざわざ来る超能力者なんていないだろう
よし。とりあえずダミーはOK
戻ろうかな
ようやく見つけた…。“冥界の門”。
シンよ、準備はよいか
はい。仰せのままに…
高円寺くん!まだなの!?もうアディショナルタイム入ってるよ!
ああ。すみません!
ながいよ~。さあ行こうか!
…はい
これで鍵開けられなかったら、博士たち、がっかりするだろうな…
…
自分だけの部屋のために、博士たちを欺くのは間違ってる気がするなあ…
やっぱ正直に言うんだった…
さあそろそろ扉とご対面だ、高円寺くん!
…!?
ちょっと待って下さい、博士。誰かいます
なに!?
さあシンよ!鍵を回すのだ!
はい!イーソン様
おい!おまえたち!何をしている!
なんだ!おまえたちは!
私はマジガチリアル研究所の本間だ!
ははは!おまえが本間か!噂は聞いてる
ほう。私も有名になったものだ
本気山にどМの変人がいるとな!
不名誉だ!
そんなことより、そこから離れろ!その扉は私が10年前から研究しているものだ!誰にも触れさせん!
おまえ、自分だけがこの扉の存在を知っていたとでも?
…なに
ははは!これを見ろ!
…!?
鍵が…!?
ついに冥界の門の鍵を手に入れたぞ!
なぜ鍵があのガキの手に…
彼こそが、この扉の所有権の真の継承者、新川シンだ!
なん…だと…
今、扉を開けるつもりだったが、まあいい。鍵は手に入った。急ぐことはない
シン!ずらかるぞ!
はい!イーソン様!
ちょ、待て!
くそ!
どうしましょう…、博士
どうもこうも、奴らの居所を突き止め、鍵を奪い返すしかない
でも鍵の継承者は…
高円寺くんが真の超能力者でないと決めつけるのは早計だ。彼も継承者である可能性は多分にある
…そうですね
負けてられるか!奴らから必ず鍵を取り返す!
…絶対取り返してください
…?なんか元気ないな、高円寺くん
取り返さないと…
そう落ち込むな、私は君のこと信じてるぞ
…
高円寺さん…
……
取り返さないと
取り返さないと…
じっちゃんに叱られる!!