小林さんが魚人さんを指さしてげらげらと笑っている。
あっはははは!
小林さんが魚人さんを指さしてげらげらと笑っている。
うるさい、笑うじゃないぎゃ
あんたよく似合ってるよ!
そう言って、また腹を抱えて笑う。
魚人さんはあの日の一件から妙に素直に言うことを聞くようになった。今日はアンディが持ってきた白い紙おむつをはいている。顔色はいつも青いのでよくわからないが、恥ずかしそうだ。
脱いじゃだめよ!
脱ぐものか、俺の一族は強いものに従う。それが掟だぎゃ
あ、写真撮ろ、写真!
やめるぎゃ!
こちらをお使いください
アンディ速い! さすが!
アンディがすかさずカメラを渡す。
やめるぎゃ!
渡さないもーん!
魚人が小林さんを追いかけ回す。今日も小林さんは生き生きとしている。幽霊だなんて実は嘘なんじゃないかと思えるくらいだ。
ふふ
つい私もつられて笑ってしまった。
あ、望ちゃんが初めて笑った!
え、そうですか?
そうだよ。へへ、ばっちりカメラに収めたからね!
小林さんは嬉しそうだ。
た、大変だべ
そこへ血相を変えたオークさんがやってきた。歯が白く輝いてまぶしい。
どうしたんですか?
ヴァンパイアのヴィアゴさんが倒れたべ
あ、はい
望ちゃん、そんなのも連れてきていたの?
あー……いたかもしれません……
先輩、私は人類を救えませんでした。ですがこの舟で新しい世界ができつつあります。みんなが死んでしまったことは悲しいですが、今あるものを大切にしていきたいと思います。