ドタドタと、慌ただしい足音が家中に響く。
ドタドタと、慌ただしい足音が家中に響く。
ちょっと! 笠原!
あんたまで寝ちゃ……。
日高は、思わず口を噤んだ。
ベッドの側に、笠原がうつ伏せで倒れている。
そして重なるように、見知らぬ少女が眠っていた。
か、笠原アンタ……!
よくも希の目の前で堂々と!
よう。
お前ら、今日も来たのか。
って、望月も居るじゃねぇか。
なんだお前、心配させやがって。
もう大丈夫なのか?
はい。おかげさまでなんとか。
そうか。そりゃよかった。
ところで、その子は?
私の友達です。
は、はじめまして……。
そうか。
俺は松原 丈史。
こいつらの担任やってたんだ。よろしくな。
よろしくお願いします!
高校の友達か?
うーん、ちょっと違うんです。
……。
夢から出てきた……ねぇ。
不思議なこともあるもんだな。
え、そんなあっさり信じるんですか?
お前らがそうだってんなら、
俺はそれを信じるよ。
お前らは、夢の中に入ったんだろ?
なら、夢の中から人が出てきてもいいだろ。
も、物分りがいいというか……。
あはは……。
相変わらずですね、先生。
まあな。
……ところで笠原。お前どうした?
随分と顔が腫れているようだが。
それに、頭に何乗せてんだ。
笠原の両頬は真っ赤に染まっていた。
頭には、何故かめがちゃんが乗っている。
……。
……まぁ、色々ありまして。
ほ、本当にごめん。
もういいって。
でも、次からはせめて、
話くらい聞いてからにしてくれ。
めがちゃん、
そこが随分気に入ったみたいね。
他人事みたいに言うなよ……。
……よくわからんが、
望月が無事で良かったじゃねぇか。
今日はなんで来たんだ?
先生にもお世話になったので、報告に。
それと、1つお願いがありまして。
また学校に入りたいんですけど、
いいですか?
望月は起きたんだろ?
入ってどうするんだ。
友達に、学校を見せてあげたいんです。
何度もすみません……。
先生がお忙しくなければ、お願いします。
今更遠慮すんなよ。
望月の回復祝いだ、好きなだけ見ていけ。
あれ? 望月さんじゃないですか。
お久しぶりです。
お久しぶり、大森くん。
突然悪いんだけど、私の絵の場所、教えてくれないかしら。
望月さんの絵の場所ですか?
いいですよ、僕が取ってきます。
大森の運んできた沢山の絵。
その中に、確かにあった。
笑っている毛玉。嬉しそうな毛玉。悲しそうな毛玉。
色々な表情をした毛玉が描かれている。
私の絵……。
よく描けてるでしょ。
うん。
……ありがとう。
?
3人で行こうと約束した、中学校訪問。
予定よりも大人数になったけど、それは3人よりも賑やかで、楽しいものとなった。
思ったよりも狭いのね。屋上。
夢の屋上が広すぎたんだ。
明らかに校舎以上あったぞ。
うっ……。
私が伝えたこと以外は何もわからないんだから当然よ。
でも、これからは自分で色々見て回れるね。
うん。
……一緒にね。
勿論。
これから、一緒に色んな物を見よう。
みんなと、私たちのセカイで。