その他の業務その一。
その他の業務その一。
お運び。
まぁ、力仕事です。祭りの日などはそこここから献酒されるので、大量の酒が社務所の入り口に並んだりします。それを祭典前に本殿の方へ持って行きます。
箱入りが多いのですがたまに箱なしのものもあり、若い娘が一升瓶抱えてうろうろするというなかなか素敵な構図になります。
建物同士そこまで離れてはいないのですが、これが意外としんどかったり。
翌日、腕が筋肉痛で
何でだろう……
と悩み、思い返してみればそれが原因だったなんてことも。
……運動不足? わかってますよそんなこと。
その他の業務その二。
手水関係。
普通はちょうずと読むようですが、うちはそのままてみずと読みます。
祭りの日だけのお仕事ですが、大きく分けて二つ、柄杓役と紙役。
紙役はそのまま、手水を終わった方々に手拭きの紙を渡す役です。来賓の方が混じっていらっしゃるので、普通に参拝に来られた一般の方々にも渡します。
もうひとつの柄杓役は一般の方には関わりませんが、祭典前、神主さんたちがする時に必要です。
桶から柄杓で水を汲んで三度に分けて神主さんたちの手に注ぐのですが、水を上手く使い切るのが難しく、汲むのが少なすぎるとホントにちょっぴりという感じになるし、一回一回ザーッと注げるほど時間がないので、多すぎると余ってしまうのですね。
正直ビクビクしてました。ツッコまれたことはないですが。
その他の業務その三。
お掃除。
言うまでもないですね。竹箒さんと共に戦います。
枯葉は敵です。
あれほど腹の立つものはありません。
あと意外とすさまじい量なのが
松葉。
パッと見では見えなかったりするのであれはあれで始末が悪いです。
その他の業務その四。
接待系。
三が日には外のテントで御神酒接待。
同月十五日には甘酒接待。
あとお祭りの日にはたまに抹茶と和菓子の接待なんかもあります。
すべて無料接待でお金は頂きません。
このうち甘酒接待に関しては、紙コップにすった生姜を適量放り込み、総代さんが隣で作ってくれる甘酒を注いで割り箸でちょっとかき混ぜて参拝客に渡すという作業なのですが、総代さんの手助けがない時は自分で作ってました。
ガス釜で熱しつつタネを水で割るだけなんですが、下手すると薄くなったり濃くなったり、ものすごく煮詰まって飴色になったりとなかなか素敵な甘酒が出来上がります。
いくら何でもこれは…
と思うような状態だった場合は
申し訳ないです。ちょっとまだ甘酒と言えるような状態では…
とか何とか言って待ってもらったりします。
が、こういったお金を頂かないものの場合、
いいよ、その状態でも
とおっしゃる方も出てくるんですね。
生姜が切れたとか、水を入れたばかりでぬるいとか、そんなものだと大したことはないのですが、最悪だったのは水が切れた場合です。
水を汲みに行けばいい話なのですが、この神社はその水がそこそこに有名なのでタイミングによっては行列が出来てしまっています。ひとりを水汲みに派遣しても列に巻き込まれてなかなか戻ってきません。そんな時に
それでいいよ
と言われてしまうと……
正直それを渡すのは気が引けるのですが、仕方ありません。
すみません、じゃあこれ……甘酒と言うよりも麹なんですけど……
ご希望通り、ボットボトの甘酒もどきをお渡しします。さすがに濃すぎるので量はちょっと少なめで。
………確かに
申し訳ないです……
いや、もう申し訳なさ過ぎて苦笑するしかありません。
おかゆ状態。飲むと言うより食べておられます。
規制の関係で数年前から御神酒はもちろん、甘酒も飲んでくれる人は少なくなりました。一応、振る舞う甘酒のタネは麹のみでアルコールが含まれておらず、大丈夫らしいんですが。
ちなみに、規制の掛かった直後の元旦には、御神酒接待テントのすぐ近くに駐在さんがおられたそうです。当時いた神主さんが、
美味しいですよ、駐在さんもいかがですか?
本当の樽酒ですよ?
一杯だけ、ほんのちょっとだけどうですか?
とか言葉巧みに勧めてみたそうですが、答えは
いやいや、勤務中ですから
ものすごく欲しそうな顔だったとか。
あれは絶対に揺れてた
とは神主さんの談。
かわいそうに…
ちゃんと断った駐在さん、警察のカガミですね。
本当は飲酒の監視ではなく、たまに羽目を外す方がいらっしゃるからだったそうですが、そんなところにおられると時期的に前者に見えますよね。やっぱり車で来られてない方も敬遠されてしまって、その年の御神酒の残りは過去最多だったとか。
追記すると、御神酒に関しては全国各地の神社でも悩みどころのようです。
飲んだら乗るなは当然とは思いますが、難しいものですね。