天王洲零里

前回までのあらすじ。

九十九彰人

そう、俺は、中学に入学した辺りから、いわゆる"ラッキースケベ"を、対象の性別や年齢に関係なく引き起こしまくる体質を得てしまったのだ――!

九十九彰人

驚いたな。こんなワケの分からない体質を持ってるの、俺だけだと思ってた。

 会長は、生徒会役員の面々を順に見渡した後、再び俺のほうに向き直る。

一之瀬創

なにも、異常なのは、あなたと私だけではないわ。

二重まな子

うっ、お腹、大丈夫だと思ったけどちょっとヤバいかも……。

一之瀬創

彼女は、<コード二十二>。その特性は、限界の突破。
だから彼女は、100点満点のテストで130点が取れるし、何らかの順位が出るような場面では、一位を超えて、マイナスの位を取ってきた。勿論、限界を突破できるというだけで、限界を突破するような結果が出せるか否かは本人次第だから、彼女は全てを努力してきた。
お陰で、"我慢癖"がついてしまったけれど。

九十九彰人

それは我慢しないほうが良いと思うんだけど……。

二重まな子

はぁ? 何言ってんの? イケるイケる。
あと1日ぐらい余ゆ――うっ……。

九十九彰人

変な人だ……彼女には触れないでおこう。

四方正義

オラオラオラオラオーロラオラオラ!(すみません、皆悪いやつじゃないんですけどねぇ……)

九十九彰人

ダメだ……何言ってるか分からん!!

一之瀬創

彼は<コード四〇>。不良のフリをしなければいけない特性よ。
彼ほど誠実な人間もなかなか居ないのだけれど、毎度毎度、誤解を招いていて難儀ね。

九十九彰人

何その特性! しょーもなっ!

三條実

えへへへ。えへへへへ。
えへへ。どうです、お茶ですよ。私が淹れたお茶。美味しいですよ。飲んでください。

九十九彰人

あっ、はい。頂き――

一之瀬創

やめなさい。彼女の<コード三十三>の特性は、彼女の奉仕を素直に受け入れた者の命を絶ってしまう。
彼女が尽くしたがりなだけに、非常に危険な性質よ。

 それを聞いた俺は、慌ててお茶の入ったコップを落してしまう。

九十九彰人

ええっ!? 

三條実

あっ、大丈夫ですか? 手とか服とか汚れてませんか?
あっ床拭きますね。

九十九彰人

おう、ありが――。

一之瀬創

彼女に感謝してはいけないわ。それですらも死の引き金になりうるから。

九十九彰人

めんどくせえな!

九重イカロス

ふむ……どうじゃ、ワシとスケベせんか?

九十九彰人

うるせぇ。

一之瀬創

彼は<コード九>。他者の特性の影響を受けない。
スケベなのは素よ。

九十九彰人

その情報要らないですけど……。
ところで、会長の"其れ"は副作用って言ってましたけど……。

一之瀬創

ええ。
私のコードの特性は、望んだ未来と世界が創世されるということだから。

九十九彰人

ええっ!?
そんなのズルじゃん!

一之瀬創

まあ、最初は良いかもしれないわね。でも、逆に言うならば、私がうっかり思ってしまったことは、全て実現されてしまうの。

九十九彰人

俺らの"これ"も、会長が望んだことなんですか?

一之瀬創

ええ――そこに居る彼女以外の<因子(ファクター)>は、全て私が望んだからこそ宿ったものよ。

 そう言って、天王洲のほうを見る会長。

天王洲零里

……。

九十九彰人

天王洲だっけ? お前なんなんだ?

天王洲零里

……私は、<コード零>。
本名は、零里洲(レーリス)・アイル・ヘブンリーロード。
アキ姉の、妹よ……。

九十九彰人

そっかそっかぁ。あのアホ妹が随分と大人しく……。

九十九彰人

いやそうじゃないよ! 何なんだよ!
お前、俺の自称妹とどんな関係だ!?

天王洲零里

私の特性は循環。創が創ったこれまでの世界全てを、無かったことに出来る。そうしたら、彼女の戯れから、あなたを救えるから。
でも、いつも失敗する。

九十九彰人

おお、そうか……愛しの妹よ……。
で、俺って、一体何なんだ?

一之瀬創

あなたは私の最愛の人よ。

九十九彰人

か、会長!? いきなり何を?

三條実

羨ましいですね……私たちでは結局、会長の心を惹きつけることは出来なかったんですから。

一之瀬創

あなたの特性は、正確には、"あなたの望みを叶えるように、他者が行動すること"。
だから、私の知らないあなたの望みが私に影響を与えて、世界が知らない風に変わっていくのが、退屈な中での唯一の幸せで。
だから、最愛の人。

九十九彰人

……へぇ。

天王洲零里

アキ姉?

九十九彰人

よく見たら会長、凄く可愛いですね?

一之瀬創

あら、ありがとう。

 それから俺は、とりあえず会長に対してラッキースケベを仕掛けて、言うことを聞かせ、仮初の世界を消した。

九十九彰人

うわあ、凄いなぁ。俺たちこんな世界に住んでたんだ。

 当然、会長に与えられたコードは、会長の世界を脱すれば消失する筈である――はじめに存在していた、零と、壱以外は。

オークA

ブヒブヒブブヒヒヒブヒ!

オークV

ブブヒヒイイイイイイ!!

オークB

ブヒイイイイイレーリスちゃん可愛いブヒイイイイイ!

腐山

ヌフゥ! オークVとオークAの体格差カプ、最高でござる……!

九十九彰人

まじか。

 仮初の世界を抜けた先は、オークに支配されていた。
 俺の母は、なんか大変なことになっていた。

九十九母

ごめんね……アキちゃん……。

九十九彰人

へぇ。なるほどね。そりゃあ会長も世界を創るワケだ。

九十九彰人

ねえ、レーリス、会長。

 零里は、いつの間にか、俺の家の居候と同じ姿になっていた。本人曰く同一人物なのだから、別におかしくはないが。

零里洲

な、何よ?

九十九彰人

俺の女になってくれ。

零里洲

は、はぁ!? あんた何言ってるか分かってんの?

一之瀬創

ええ、喜んで。

九十九彰人

やったぜ。

 なんやかんやレーリスも承諾してくれたので、俺は零と壱を得て最強になった。

そして、オークに支配された世界ごと全てを吹き飛ばした。

九十九彰人

お、零と壱って、そういう……。
まあ楽しかったしどうでもいいか。

おわりっ♪

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