ヴァンダ

くっくっくっ……
ついに……ついに成功したぞ……

ヴァンダ

我が叡智の結晶!
異界より魔の者を召喚する術式!!
ついに完成したぞ!!!

ヴァンダ

ははは! さすがは私!
高潔なる魔王の血筋、
それに相応しい成果ではないか!!

クロ

…………

ヴァンダ

くくく……
如何な異界の存在と言えど、
我が威容の前では言葉を無くすか。

ヴァンダ

まずは名乗れ。黒き獣よ。
この私の眼前で口を開くことを許そ――

クロ

ふおおお! チョー綺麗な姉さんだ!!

ヴァンダ

っ!?

クロ

いやあ、目の前が真っ白になったときは
どうなることかと思ったが……
悪くない状況だな!

ヴァンダ

……ふむ。
どうやら言語が通じていないようだな。
やはりまだ改良の余地があるか……

クロ

おっと、そうそう! 名乗らないとな!
オレはクロ!
人呼んで『長尾のクロ』さ!
長ぁい尻尾が自慢さ! よろしくな!!

ヴァンダ

お、おう。ナガオノ=クロだな。
覚えたぞ。

ヴァンダ

言語は通じていたか。しかし……
私が想像してたのと違うな。
こやつは、なんというか……

ヴァンダ

いや。見てくれで判断は出来ん。
こやつは異界の者。
未知より来たりし者なのだ。
きっと見かけによらず、
なんかすごいチカラを持っているのだ。

クロ

さて、次は姉さんの番だぜ!
名乗られたら名乗り返す!
それが常識だ!

ヴァンダ

ほう……私に名を聞くか。
いいだろう。その蛮勇に免じて許そう。

ヴァンダ

聞き惚れよ!
しかして讃え、更に喜べ!
我こそは魔王が血族! 次代の魔帝!!
ヴァンダ・コンセプシオン・シュリック・アファナーシエヴナ・ヘードバリ……

クロ

最初のとこ、どっかで聞いたような……
っていうか! すっげえ長いな!!
い、いつまで続くんだ!?

ヴァンダ

――マデレイネ・カッセル・ラスコン・ナサリオである!!!

クロ

じゃ、ヴァンダ姉さんで!

ヴァンダ

…………そうか。まあ、構わんが。

ヴァンダ

我が渾身の名乗り口上だというに……
身動ぎひとつせぬとはな。
さすがは異界の者といったところか。
並の存在であれば、
我が重圧に耐えきれず気絶していよう。

クロ

名前がチョー長すぎて、
最初しか思い出せなかったぜ……

クロ

ま、間違えてなかったみたいだし、
特に問題はないな!

ヴァンダ

さて。ナガオノ=クロよ。

クロ

クロでいいぜ!

ヴァンダ

ふむ。では、クロよ。
早速だが、貴様に仕事を与える。

クロ

うげ。仕事か……
できればネズミ取り以外で頼む!

ヴァンダ

ネズミ……?

ヴァンダ

……まあよい。
異界のことを聞く愉しみは後だ。

ヴァンダ

貴様は我が魔界の住民第一号である!
平たく言えば私の従者だ!
栄誉ある役目、ありがたく拝命せよ!

クロ

つまり、オレはただ
姉さんの近くにいればいいのか?

ヴァンダ

うむ。そういうことだ。

クロ

お安い御用だ!
この『長尾のクロ』、いつ何時でも
姉さんに付き従わせてもらうぜ!

ヴァンダ

悪くない返事だな。忠勤に励むがいい!

ヴァンダ

ふふふ……
ようやく私もここまできたか。
いよいよ我が覇道が始まるのだ!
今に兄上も父上も抜き去ってみせよう!






クロ

……なんか勢いで返事しちまったけど。
ここ、どこなんだ?
ひょっとしてあれか?
まさかオレ、ユーカイされた系……?

0話 我が名を聞け!

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